ついに到来した本格的な夏。最高気温35℃を超える日もあり、熱中症防止のためにも“冷房”は欠かせない存在だ。しかし、現在日本は、火力発電所の休止や、電力需要の増加によって深刻な電力不足に陥りつつある。

 また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、火力発電に使う天然ガスの調達が難しくなり、大手電力10社の電気料金は、この1年で約10~30%も値上げしている。どうにか節電しなければ、家計も電力と同じように逼迫してしまう状況だ。

 とはいえ、エアコンの節電と熱中症対策は両立できるのだろうか。総合空調メーカーのダイキン工業株式会社広報・由井明日香さんに、酷暑のエアコン節電術を聞いた。

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「2013年に行われた資源エネルギー庁の調査では、一家庭における夏の日中(14時頃)の消費電力のうち、エアコンが全体の約6割を占めることが明らかになっています。ですので、夏の節電はエアコンを中心に行うのが、効果的な方法といえるのでははいでしょうか。

 ただ、闇雲に冷房を止めると日常生活に支障が出たり、熱中症を引き起こすリスクにつながったりすることも考えられるので得策とはいえません」(由井さん、以下同) 

 節電して熱中症で倒れるのは本末転倒。やはり、エアコンを使用しながら対策をとる必要がありそうだ。

約25%の節電効果が期待できる

 由井さんいわく、まず最初に行ってほしいのが「フィルター掃除」だという。

「エアコンは、設定温度に到達するまでに多くの電力を消費します。冷房の場合は、室内機の上部から部屋の空気を吸い込んで熱い空気を冷やし、吹出口から冷気を出して室温を下げる。室内機が空気を吸うときに通る“フィルター”にホコリが詰まっていると、室内機を通る空気の量が減り、室内全体を冷やすのに時間と電力がかかってしまうのです」

 設定温度に達するまで時間がかかれば、その分、電力も消費する。過去にダイキンが『1年間フィルター掃除をしなかったエアコン』と『フィルター掃除をしたエアコン』の消費電力を比べたところ、前者は約25%も多く電力を消費していたという。汚れたフィルターは節電の天敵なのだ。

2022.08.13(土)
文=清談社