「風向を上向き・水平にすると、冷たい風が天井から比較的ゆっくり降りてくるので、お部屋全体の温度のムラが少なくなります。また、エアコンに加えて扇風機やサーキュレーターを併用するもおすすめです。エアコンの対角線上に扇風機を置いて天井の真ん中あたりに向けると、室内の空気がより撹拌されて温度ムラを抑制してくれます」

 部屋の環境によって条件は変わるが、設定温度を過度に下げるよりも、扇風機やサーキュレーターを併用するほうが節電効果が高いという。気になる風量設定は、どの設定がもっとも効率的なのだろうか。

「風量設定は『自動』が最適。初めは強めの風で一気に室温を下げ、その後弱風に切り替わって電力の消費を抑えてくれます。『常に弱風・微風に設定しておくと節電になる』と思っている方もおられますが、弱風では設定温度に達するまで時間がかかるので、自動設定よりも電気代がかかってしまいます。

 帰宅直後、すぐにでも涼を取りたいときは、風向を自分に向けるか、風量を強くするのも節電術のひとつ。まず、風を浴びて“体感温度”を下げると、設定温度を下げずに涼しさを感じられます」

 

 そして、長年続いていたエアコンのスイッチ“入れっぱなし派”と“こまめに入り切り派”、どちらが節電になるか論争にも、ひとつの答えが出ているという。

「当社が『冷房つけっぱなしの部屋』と『30分ごとにスイッチを入り切りした部屋』の消費電力を比較したところ、真夏の日中はつけっぱなしのほうが電力を抑えられるという結果が出ました。設定温度まで室温を下げる回数が多いと、電気代がかさむ傾向にあります。 

 ただ、外出する場合、何時間でもつけっぱなしのほうがいいというわけではありません。当社が検証を行った環境下では、35分以上使用しない場合は、エアコンを止めたほうが節電効果が高いという結果となりました。これを目安にしながら、その日の行動に合わせてスイッチの入り切りを決めましょう」

2022.08.13(土)
文=清談社