阿波連の「青」は“琉球ガラスを超えた明るいブルー”
フェリーが港に入り、緑深い山がちの島が視界に迫ってきます。斜面をみると、一面びっしりとクバ(ビロウ)の木々。
クバは葉を乾燥させて扇にしたり、手籠にしたり、沖縄の島々の暮らしに活用されてきました。数千枚を重ね合わせて小型の舟の帆を作ったこともあったとか。また琉球王朝時代には、渡嘉敷島の上納品だったこともあり、納品分が間に合わないと、近隣の慶留間島や阿嘉島からも調達したそうです。
渡嘉敷島は慶良間諸島で一番大きく、一周約25キロの島に、人口は700人あまり。人気ビーチは、阿波連(あはれん)と渡嘉志久(とかしく)になります。
南西部の阿波連は、渡嘉敷島を代表するビーチ。緩やかな弓形の白砂ビーチが約800メートル続いています。沖には“ハナレ”と呼ばれる、岩肌があらわになった無人島が浮かんでいます。
実は、渡嘉敷島へ訪れるのは15年ぶりくらい。
当時の取材メモをみると、「琉球ガラスを超えた明るいブルー。場所によっては読谷山花織の紺地よりも深い色合い。柔らかな砂は粒も細かく、これくらいでないと“パウダーサンド”とは呼んではいけないかも」。
うーむ。太陽がほしい。雨に濡れていない砂浜を歩きたい。
阿波連ビーチの海に向かって右端の岩山に空いたアーチを抜けて、階段を上り、標高27メートルのクバンダキ展望台へ。阿嘉島、慶留間島、外地(ふかじ)島、安室島が一望にできるはずですが、やや霞んでいます。
この“クバンダキ”とは、目の前にある“クバ山”を意味するもの。展望台のすぐ西に拝所があり、言い伝えによると、種取りの神様が天から久場島へ下り、そして阿波連へ来訪すると信じられていたそうです。
2022.08.13(土)
文・撮影=古関千恵子