東京の都心にいながら、緑の潤いを間近に感じることができ、温もりあるおもてなしにファンの多い庭のホテル 東京。このたび2009年の開業以来初となる、約3か月の全館休業を経てリニューアル。3月25日からさらに進化を遂げた上質な空間でゲストをお迎えしています。
さて、新しい庭のホテル 東京の注目ポイントは、和の美意識をいっそう感じられるスタイルになった空間と、ホテルを象徴する “お庭” がこれまでの2つから4つに増設されたこと。
まるで旅館に来たような、つかの間の小旅行気分を満喫できるのが魅力です。
実は、庭のホテル 東京の前身は、この地に昭和10年(1935)に創業した旅館「森田館」。
お客さまにくつろいで滞在してほしいと、すべての客室からお庭を眺めることができたそうで、小さいながらも雅な日本情緒に心が癒やされると、国内外の旅行者から大好評だったといいます。
四季折々の花が咲き、せせらぎも美しい1階の中庭は、かつての旅館時代の風情を受け継ぎ、都心にいることを忘れさせます。
さらに2階には、枯山水をイメージさせる「石庭(いしにわ)」が誕生したほか、3階にあったお庭は、池泉と緑を眺める「ラウンジテラス」へと生まれ変わりました。
季節になると枇杷や八朔などの果実が実り、お茶を飲みながら、のんびり過ごせる空間となっています。
また客室にも、新しいタイプが登場。なかでも注目なのが、和のコンセプトルーム「シグネチャーツイン」。
靴を脱いでくつろげる畳の空間が心地よく、障子を通した柔らかな光に包まれて、“モダン旅館” に滞在しているかのような気分です。
ベッドは、日本最古のベッドメーカーである日本ベッド製造に特注したオリジナル。枕は快眠セラピストの三橋美穂さんと共同開発したもので、上質な眠りへのこだわりも満載。
さて、チェックインを済ませたら、まずは「リフレッシュラウンジ」へ。毎日16時から20時までフロントスタッフによるお茶やコーヒーのサービスがあり、目の前に広がる「テラスラウンジ」のお庭を眺めながら、心穏やかなひとときを過ごせます。
コーヒーは新宿西口で半世紀以上にわたり愛されてきた但馬屋珈琲店によるオリジナルの深煎りブレンド。一杯一杯、サイフォンで淹れたてをお好きなカップで味わえます。
日本茶も静岡産の銘品を厳選。鉄釜で沸かしたお湯で淹れるので、そのまろやかな味わいは格別。「ほっ……」と気持ちが安らぎます。
さらにライブラリーも新登場。書棚には “本の街・神保町” の古書店がセレクトしたお庭にまつわる書物がずらり。お茶を片手に読書を楽しむのも素敵です。
さて、すっかり日が暮れたら館内のレストランへ。宿泊ゲストはもちろん、この地域の人々にも愛されている評判店です。
次のページでは、庭のホテル 東京の食の楽しみをご紹介しましょう。
2022.04.28(木)
文=矢野詔次郎
撮影=鈴木七絵