ここ数年、テレビや配信でオーディション番組が増えている。私が「なんだか懐かしいドキドキと興奮……」と夢中になったのが、2020年の「Nizi Project」だった。
オーディション番組自体を久しぶりに観た。J・Y・パークさんの笑顔と「キューブをアゲマース……」は楽しませてもらったし、女の子たちのパフォーマンスに度肝を抜かれた。ダンスだけでなく言葉もラップも歌唱力も試される。しかもオーディションの段階で半年間も韓国で合宿!!
そんな壮絶な内容ながら、お互い支え合い、ライバルの活躍に嬉しくて涙する子までいて、なんとも穏やかな空気を感じた。平日の朝に見ても(朝の情報番組「スッキリ」で特集企画として放送)仕事に支障が出ない爽やかな後味のオーディションって凄いわ……。誰が選ばれるかというより、もはや「全員ガンバ!」と親のような目線で見守った。
「Nizi Project」が特殊だったのだろうかと思ったが、続いて放送された「THE FIRST」も、やはり清々しいミントの風が吹くようなシーンの連続だった。
ライバル意識はあるけれど、お互いの弱点をいかに克服できるか提案し合い、グループに貢献することを先に考える参加者たち。受かったあとなら分かるけど、審査の途中でこれができるのか! 自分ならキーキーしてしまうだろう。ライバルを励ますなど絶対できない。
今のオーディションは、私の知っているオーディションの域を超えていた。
「ASAYAN」終了から20年……
私が「Nizi Project」の前、最後に印象に残っているオーディション番組は「ASAYAN」である。放送は1995年から2002年。
1997年の河村隆一さんによる「Say a Little Prayer」デビューの際には、メンバー3人が個別でアウトドアキャンプに行かされ「なぜ?」と思ったことをよく覚えている。
モーニング娘。誕生のきっかけとなった「女性ロックヴォーカリストオーディション」は毎週固唾を飲んで見守った。「小室哲哉オーディション1999」の小林幸恵さんの歌が大好きだったので、「ニッキー・モンロー」という名前を付けられたときはハラハラした。
2022.04.15(金)
文=田中 稲