前々回、このコラムでご紹介した「よもぎや」は、徳之島のよもぎ餅のお店でした。今回は、喜界島の粗糖を使った焼き菓子の工房。関西では、こうした鹿児島県の離島に縁のあるお店が見つかります。島へ旅する気分で訪れたいもの。

 阪急電鉄宝塚線・庄内駅から北西へ徒歩約4分。音大通りにある「ハバ サ ハナ」は、2019年10月オープン。木村麻美さん、大東瞳さん姉妹が営む小さなお店です。

 看板に描かれているのは、アルファベット表記に喜界島の形が組み込まれた店名のロゴ。横長の窓から、おふたりが奥の工房で作業する様子が見えます。店内に入って篭を持ち、好きなお菓子をピックアップして精算するスタイル。

 営業日は、木・金・土曜の週3日。子ども連れや自転車での客が開店すぐから次々に訪れ、ギフトや自宅用のお菓子を楽し気に持ち帰っていきます。

 お店に並ぶ焼き菓子の色々をご紹介しましょう。喜界島の人々が「島ざらめ」と呼ぶ喜界島産粗糖が、全てのお菓子に使われているのが特徴です。

 オープン当初から作ってきた「シフォンケーキ」は、卵の風味と優しい甘みがポイント。ふんわり、むっちりの食感で、食べきりサイズがうれしい。

 「フィナンシェ」も、オープン時からの定番。噛むうちに、すうっと消えるような口溶けの良さに驚きます。後口にラベンダーはちみつの香りがほんのり。

 「スコーン」も様々な種類を作ってきたそう。当日は「チョコバナナ」。バナナとチョコの相性が抜群の、誰もが大好きな味。他の焼き菓子、マドレーヌやバターケーキにも島ざらめを使用しており、まろやかな甘さ。ほのかな特有の風味とコクが感じられてクセになる味わいです。

 クッキーは小さな袋入り。

 人気の「フロランタン」は、島ざらめを絶妙のタイミングでキャラメリゼすることで、他にない深いコクとキレの良い後口に仕上げた逸品。しっかりした味わいに夢中になります。

 「プラリーヌクッキー」は、キャラメリゼしたアーモンドやくるみ、カシューナッツなどを生地に加えており、香ばしくてコリコリした食感。

 「黒うさぎクッキー」は、芳醇なカカオの風味。甘さ控え目で、ビターチョコを思わせる大人味。

 「くるみはちみつクッキー」は、リスと葉っぱの形。コリコリと噛む程に、口の中いっぱいに香ばしさが広がります。

 他にも、バニラクッキーやソフトクッキー、サブレなど多彩。買いやすい値段なので、まとめ買いしてしまいます。

 「クラッカー」のひとつには、島でも知る人ぞ知る、花良治(けらじ)胡椒が使われています。ピリリとした辛さで、すっかりポピュラーになった柚子胡椒とも異なる味。他には、喜界島の白ゴマ、海老と青海苔などと、チーズを絡めたカシューナッツも入っていて、お酒のお供にぴったり。

 ブームのクッキー缶、その名も「喜界島ざらめのクッキー缶」も発見。

 星の王子さま柄の缶には「くるみはちみつクッキー」「ショートブレッド」とレモンのアイシングをした星形クッキーと、島ざらめをプラリーヌにしてからめたナッツがぎっしり。ココアのクッキーが味わいのアクセントです。

 ギフトでもらって食べ出したら、止まらなくなってしまいそう。

2022.04.10(日)
文・写真=そおだよおこ