大分が誇る豊かな食材や郷土食を伝統工芸の器でいただく特別会席
夕食は、半個室空間の落ち着いた「食事処」で。大分名産のかぼすや、近海で獲れた魚介など、地元の素材をふんだんに取り入れた特別会席です。
はじめに提供される「ご当地先付け」は、全国の界ブランドの旅館が、その地域で親しまれている素材を使いながら、意外性のある組み合わせや新たな調理法で楽しめる一品。
「界 別府」では、「かぼす麺と雲丹のジュレ仕立て」を小鹿田焼きの器や竹灯籠をイメージした演出で楽しめます。
名物の「宝楽盛り」は、大分が誇る竹のモチーフで魅せる、八寸、お造り、酢の物の盛り合わせ。この日は春らしく華やかな食材が並びました。
八寸には、フォアグラのテリーヌと香り高いタンカンを合わせたものや、海老の小袖寿司、人参松風、鱒の木の芽焼き、蚕豆玉寄せと順才、白魚真砂揚げ、蕨のお浸し。
甘口の醤油でいただくお造りは、太刀魚、本マグロ、マナガツオ。ねばりの強い海藻「くろめ」の酢の物も珍しく、お酒が進みます。
「豊後鍋」には、別府八湯にちなんだ8つの素材が入ります。この日は、豊後サバに、カラフルなヒオウギ貝、牛肉、鶏肉、大きく分厚い「ステーキ椎茸」、季節野菜に、耶蘇ぜり(大分の山間寒冷地で育つクレソンの一種)、乾しいたけを練り込んだ麺というラインナップ。
まず、だしを煮立てたところに、かぼすの薄切りをくぐらせて風味付けし、具材を煮込んでいただきます。かぼすおろし、かぼす胡椒を添えて食べるのもオツなもの。
山海の素材から出る旨みでどんどん濃厚になっていくスープも、かぼすの爽やかな風味が相まって、思わず飲み干してしまいそうなおいしさです。
2022.03.25(金)
文=伊藤由起
写真=榎本麻美