洋菓子を15年、和菓子で5年の経験を積んで自店をオープン

 尼崎市は、電話番号の市外局番が大阪と同じ06で、大阪の街だと思っている方も多いようですが、兵庫県の南東部の市。地元民は、「アマ」という愛称で親しみを込めて呼んでいます。そんな市域でもちょっと特殊なエリアが、武庫之荘。武庫川で西宮市と接する閑静な住宅街で、1937年に阪急電鉄が総面積6万坪の住宅地を売り出すために駅を設置してから開けました。周辺には当時の落ち着いた佇まいの建物も残っています。近年、お洒落なレストランやワインバー、スイーツのお店などが増え、にぎわうようになりました。

フィナンシェ 1個 150円。シールや袋にも、お店の看板サムライが!

 そんな街で見つけたのが、サムライが団子を手ににっこりしているユニークな看板。その名も『wagashi dokoro 楽emon』です。「昭和の初めに外国人が日本に来て和菓子のおいしさを知り、修業して和菓子屋を始めた……そんなストーリーを想像して造ったお店です」と、ご主人・坂井博一さん。お店の表には日本酒の広告があるベンチが置かれ、団子の形の欄間に瓦屋根風のひさしまで。ガラリ戸を開けると、店内のショーケースには、おはぎや大福、わらびもちが並んでいます。そして、ケースの上には、フィナンシェやシフォンケーキも。何とも不思議な雰囲気。

ご主人、坂井博一さん

 坂井さんは、尼崎市内の和菓子屋に生まれましたが、家業を継がずに、15年間、パティシエとして洋菓子を作っていました。「パティスリーが増えてくる中、僕自身がパティシエとして、他と違う強みは何かと考えたんです」。そこで、坂井さんは実家に戻って、5年間、和菓子の基礎をしっかり身につけました。そして、2012年5月に自店をオープン。

左:レトロでおしゃれなお店の外観も、和と洋がコラボレーション!
右:おはぎとフィナンシェが違和感なくショーケースに鎮座
シフォンケーキ 1台 1000円

「洋菓子は各々の要素を重ねるもの。それに対して、和菓子は素材の持ち味を凝縮するもの。また、洋菓子は提案するもので、和菓子は感じてもらうもの。そんな、対極にあるような洋菓子と和菓子の両方を身につけて、新しいカテゴリーのお菓子を創り出そうと奮闘中です」と、坂井さんはにっこり。今までの和菓子屋さんにはない、オリジナルの和スイーツに注目です。

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2013.08.25(日)