この記事の連載

 フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんが一日一花、暮らしが華やぎ、活力をもらえるおすすめの花をナビゲート。今日は、花を飾ってみませんか?

» 別日の花の記事をチェック!


2月27日の花はスイートピー「アンティーク」

 スイートピーは英国王妃のアレクサンドラに愛された花で、エドワード朝を象徴する由緒ある花です。

 大英帝国の円熟期は、特権階級に権力や富が集中した時代。

 タイタニック号が起工されたのもこのエドワード朝時代の晩年で、当時の国王エドワード7世の妃がデンマーク王女のアレクサンドラです。

 その美貌からエドワードに乞われて結婚し、「イングランドのエリザベート」と呼ばれました。

 同じ時代、同じヨーロッパに2人の絶世の美女が晩餐会に華を添えていたシーンを想像すると、特権階級社会が燃え尽きる前に放った最後の輝きだったようにも思えます。

 アイコン的存在だったアレクサンドラは、スイートピーを愛し、式典や晩餐会で必ず飾らせていたので、各国でスイートピーの花が人気になったと言われます。

 その数年後エドワード朝は終わりをつげ、時代は第一次世界大戦に突入していくこととなります。

 「アンティーク」はくすみ感のある優しいブラウンピンクを繊細な染めで表現している品種で、その技術力の高さに驚かされます。

 激動の中に一瞬だけ花開いたエドワード朝を象徴するスイートピーと王妃。時代を経た今も、アンティークカラーを纏って、その輝きを私たちに伝えます。

【スイートピーの花言葉】私を覚えていて、ほのかな喜び、至福の喜び、門出、デリケートな青春の喜び
【スイートピーが誕生花の人】2月13日、3月15日、3月30日、6月9日、12月28日生まれ

#CREAの公式YouTubeチャンネルで、花イラストのメイキング動画を随時公開中!

佐藤俊輔(さとう しゅんすけ)

フラワーデザイナー。大手百貨店退社後、花の世界へ。2014年モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。'17年「女性自身」(光文社)、’19年日本最大級の花材通販「はなどんやアソシエ」にて季節のアレンジメントを連載。’20年から、CREA WEBにて「Playful Flower Life!」連載中。

次の話を読む【2月28日の花】カレンジュラ 早春の花壇をにぎわせるポップな花

← この連載をはじめから読む

Column

今日、花を飾るなら。
ブルームカレンダー

フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんが一日一花、暮らしが華やぎ、活力をもらえるおすすめの花をナビゲート。花にまつわるトピックスや飾り方などもあわせて紹介します。今日は、花を飾ってみませんか?

 

2022.02.27(日)
文=佐藤俊輔
イラスト=佐藤弘昌