同月10日、皇太子ご一家は、須崎御用邸がある静岡県の伊豆急下田駅に到着された。愛子さまは白い襟のついた青のストライプシャツと紺のスカートに、バッグを持たれていた。

 沿道で待ち並んでいた人から「かわいい!」と声をかけられると愛子さまははにかんで、「ありがとうございます」と会釈をされた。

 また地元の女性から「泳ぎは上手になりましたか」と尋ねられると、「うーん」と苦笑いしながら首を傾けられた。周囲から笑い声が聞こえた。すると、愛子さまは「色々泳げますが特に平泳ぎは得意です」とおっしゃっていた。

 

「お身体は大丈夫ですか。どうぞお元気で」

 沿道には宮内庁の主馬班職員だった故人の阿部昭二さんの妻・貞子さんもいた。主馬班は宮内庁の馬の飼育管理や調教、外国大使の就任の際に儀装馬車を運行することなどが仕事で、阿部さんは長らく務められた。

 貞子さんは、皇太子の加冠の儀の際、馬車の前に立つ阿部さんの写真を黙って持っていた。皇太子は歩み寄られて写真をご覧になると「あ、阿部さん」と気づかれた。阿部さんは皇太子が幼いころに野球をしたり、乗馬をしたり遊び相手のような存在だったそうだ。

 皇太子はじっくりと写真をご覧になって、雅子妃に「お世話になった阿部さんだよ」と説明された。雅子妃はかがまれて、貞子さんに「お身体は大丈夫ですか。どうぞお元気で」と微笑んだ。

 貞子さんの長女、山梨智子さんは、「雅子さまはイメージと違って、とても気さくな方でした。最後に殿下の方から『お世話になりました』とおっしゃって頂きまして、驚きました」と語る。

 貞子さんの目には涙が溢れていた。

 皇太子は須崎御用邸に向かう車内でも懐かしそうに阿部さんと遊ばれたときの話をされていたという。

「受験勉強と宿題の両方をこなすのは結構大変」

 愛子さまが静養先で取り組まなくてはならないのが、学校の宿題だった。

「学校からは、毎年たくさんの宿題が出されます。調べることや記録もあるので、早く取り組まなくてはなりません。高等科の約半数は学習院大学ではなく他大学や海外の大学に進学するため、多くの生徒が塾に通っていたり、家庭教師をつけていたりするんですが、こうした受験勉強と宿題の両方をこなすのは結構大変です」(同級生の母親)

2022.01.07(金)
文=友納尚子