次にお話を聞いたのは韓国語ネイティブで日本語が堪能なIANさん。BTSに出会ったのはなんと小学生のころ。特別に推しているメンバーはいないオルペン(全員のファン)だ。
父の遠い知り合いの息子さん
「私は釜山に住んでいて、父の知り合いのまた知り合いの息子さんがJUNG KOOKだったんですね。デビューするから応援してねみたいなことを言われて、音楽番組で『NO MORE DREAM』を見たらハマってしまいました。アイドルなのに目に毒気があって、社会を批判する歌をうたっているのがすごいなと思いました。
私はまだ幼かったので、生活の中心は学校の勉強で、恋愛について深く悩んだこともなくて。当時ヒットしていたEXOやINFINITEのラブソングはピンときませんでした。バンタンの歌詞のほうが共感できたんです」
ビッグ・ヒットを設立したパン・シヒョク氏は、3大事務所のJYPでヒット曲をいくつも手掛けたプロデューサーとして知られていた。新しい会社でどんなグループを作るのか期待している人も多かったのだという。
「私の記憶だと『NO MORE DREAM』は評判よかったんですよ。3rd ミニアルバム『花様年華pt.1』(2015年4月)のSKIT(※)でJ-HOPEも期待していなかったけどまあまあの結果だったと言っていて。ところが次の『N.O』はメンバーたちも期待したのに反応がよくなくて。その後続曲の『進撃の防弾』は期待していなかったのに反応がよかった。
そのあとも好成績をとると次は落ちてという感じで浮き沈みが激しくて、成績がなかなか安定しませんでした。そのせいでアンチに『土の匙アイドル』と揶揄されることもありました」
(※)曲と曲の間に挿入される会話など。
「土の匙」とは韓国における下層階級を表す俗語だ。BTSには裕福な家庭出身のメンバーもいるが、敢えて使うことで貶めていたのだろう。IANさんが韓国におけるヒットを実感したのは「Boy In Luv」(2014年2月)がリリースされたときだ。
2021.12.12(日)
文=紫野 あみ