人の発言の裏とか、バックボーンをずっと考えてしまう

──キャラの描き分けがリアルで、人間観察の鋭さを感じます。

いつまちゃん ありがとうございます。私は子どもの頃から「この人はなんで○○ちゃんには優しいのに、私には笑ってくれないんだろう」とか、「この子が極端に年上とばかり付き合うのは家庭環境も関係してるのかな」とか、考えてしまうクセがあるんです。

 人の発言の裏とか、その言葉を発したバックボーンとかをずっと考えてしまうので、「今日あの人はこう考えてたんじゃないだろうか」とか、人の10倍も20倍も考えながら生きているところが『来世ちゃん』にも出ているような気がします。偏見なので悪い癖ですが、かなり創作には役立ってますね。

キャラクターをパズルのように組み合わせて描く

──単行本では「SNSお悩み相談コーナー」も掲載されています。「『来世ちゃん』で世の中の不条理に立ち向かう」「桃江ちゃんを幸せにすることで、失恋で傷ついた女の子を救う」ということは意識されているのですか?

いつまちゃん そういう善の目的ではまったく描いていないです。「桃江ちゃんがBくんの出張についていったらどうなるんだろう」とか、「Eくんがコロナで投資に失敗してたらどうなるかな」とか、今の世の中の時事と照らし合わせつつ、キャラクター同士を、ただパズルのように組み合わせて描いているだけです。

 

 でも作品が誰かに少しでもいい作用をもたらしているのであれば、描いていてよかったなと思います。

今後どう変わっていくかは自分でも予測不可能

──ドラマの最終回では、アセクシャルでアロマンティック(他者に性的欲求も恋愛感情も抱かないセクシュアリティ)の梅ちゃんの結婚話も出てきました。あれはドラマ版のオリジナル脚本ですか? 今度の展開などはもう決めておられるのですか?

いつまちゃん ドラマのシーズン2をつくるにあたり、私が「いずれ白木・レオペアが梅ちゃんと同居する構想がある」ということをお伝えしたので、エピソードの先取り的な感じであのような展開になりました。

2021.11.06(土)
文=いつまちゃん