「ゴシゴシこすらなくていいの?」と聞かれますが、はい、こすらなくていいです。繊維はこすられると、けば立ったり、傷んだりします。黒いTシャツが色あせてくるのは、色落ちしているからではなく、繊維がけば立って白っぽく見えてくるせい。手洗いでも洗濯液(洗剤と水)を浸透させ、やさしく押し洗いすれば汚れは落ちます。こすり洗いが必要な襟袖などは事前に手でもみ洗いして。

 

洗剤量は衣類の重さで決める……は間違い

何で決めるの?

汚れの量で決める。

汚れているときには水と洗剤量を多めに。

汚れの量は、季節、性別、運動量などで変わる。

夏の衣類は軽いけれど汚れの量はヘビー級

 全自動洗濯機は、衣類の重量を基準に水量や洗剤量を判断しています。

 これが間違いのもとなのです。

 冬の衣類と夏の衣類、どちらが重いですか? そう、冬です。でも冬は汗も皮脂も少ないので、洗濯物はあまり汚れていません。

 一方、夏の衣類は薄くて軽くて、袖も丈も短い。重さで判断すれば、水の量も洗剤量も少なくなります。でも汗の量、皮脂の量は冬より圧倒的に多いはず。重さだけで洗剤の量を決めると、夏の衣類の汚れに洗剤が負けます。夏の衣類をきれいに洗えている人がどれだけいるか……。

 梅雨時になると、部屋干し臭がひどくなりますよね。空気が湿って雑菌が繁殖しやすくなることが原因ですが、洗濯物に皮脂や汗の汚れが残っていなければ、雑菌だって繁殖できないのです。

ドラム式洗濯機は汚れ落ちがいい……は疑問 

汚れが落ちにくい理由

使う水の量が少ないので、汚れが薄まらない。

洗濯槽でのつけおき洗いができない。

洗濯槽の掃除がしにくいので雑菌がつきやすい。

ドラム式は汚れが水に溶け出しにくい

 ドラム式洗濯機は、少ない水で洗えることが売りです。でも洗濯は、汚れを水に溶かし出して薄めて流すのが基本。水の量が少ないと汚れが繊維に残りやすくなるのです。実際に、ドラム式洗濯機を使っている人から「洗濯物が黒ずむ」「においが残る」という悩みが寄せられます。もともとドラム式洗濯機は、お湯の使用が大前提で生まれました。電圧が高いヨーロッパでは、食洗機同様、洗濯機にヒート機能がついているのです。水を高温にして、熱で皮脂汚れを洗い流せるからこそ、少ない水での洗濯が可能になったのです。

 残念ながら、日本の電圧でそれは難しい。ヒート機能のあるドラム式も売り出されていますが、とても時間がかかります。

【前編を読む】洗剤や柔軟剤の強い香りでごまかすのは危険! 意外と知らない“洗濯物”と“雑菌”の関係性って?

2021.08.21(土)
文=本橋ひろえ