2021年上半期(2021年1月~6月)にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ビューティ&ライフスタイル部門の第2位は、こちら!(初公開日 2021年5月5日)。

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 季節の変わり目であるこの時期は、生活環境の変化が多く、「疲れているのに、よく眠れない」「すっきり起きられない」と感じることが多いかもしれません。それは、自分でも気がつかないストレスや緊張で、睡眠に問題を抱えているのかも……。

 今回は、眠りとお風呂の専門家で、公認心理師、SleepLIVE株式会社代表取締役でもある小林麻利子先生に、睡眠の質をぐっと高める入浴法について教えていただきました。

 まずは自分の快眠度をチェック! 眠りのメカニズムを知り、快眠につながる効率的な入浴を取り入れましょう。

最初に知っておきたい睡眠のメカニズム

 朝、寝汗をかいて起きるなんてことはないですか? その場合、眠りのリズムが乱れている可能性があります。

 通常、朝方は浅い眠りになるので、汗をあまりかかないはず。だから、朝、汗をかいているという時点で、よく眠れていないのかもしれません。

眠りのメカニズム

 眠りには、周期があって、浅い眠りがレム睡眠、深い眠りがノンレム睡眠だと思われがちですが、ノンレム睡眠には深さのステージが4段階あるので、そうとは言い切れません。

 個人差はありますが、眠りに入るとノンレム睡眠のステージが1→2→3→4と深くなり、また4→3→2→1と移行してレム睡眠が出現する、これがひとつのサイクルになります。

 良質な眠りは、ノンレム睡眠のステージがすぐに4まで到達することが重要で、30分以内くらいに入るのが理想的。

 このノンレム睡眠とレム睡眠を波のように一晩で4~5周期ほど繰り返しています。特に第1~2周期目に深い眠りをしっかり得られていることが、熟睡感を得るうえで大事です。

眠りの決め手は深部体温

 私たちの体の内側にある内臓や脳などの温度のことを「深部体温」といいます。深部体温は、体内リズムにあわせて、だいたい19時頃が最も高く、入眠時刻にかけて低下し、朝4時頃に最も低くなるという1日の変動があります。

 この深部体温が下がると覚醒レベルも下がって眠くなります。眠りには体温の変化が密接に関わっていて、睡眠に悩みがある場合は、この高低差があまりないことが多いです。

 実際に自分の睡眠状態がどのようになっているのか調べるには、脳波をみるなど専門の検査が必要になってきます。ここでは、主観でわかるポイントを3つあげますので、深い眠りを得られているか、チェックしてみてください。

快眠ポイント

●寝つきがスムーズ

 寝ようと思ってから、15分以内に眠れればOK! ストレスなく、すーっと自然に眠りにつくことができるようであれば理想的です。

●途中で何度も目覚めない

 もし途中で目覚めたとしても、すぐに眠りにつくことができれば問題ありません。一度起きて眠れなくなる場合は、中途覚醒といって眠りが浅い可能性があります。

●翌日、熟睡感がある

 よく眠ったなという実感です。睡眠慣性といって、目覚めてもまだ「なんかちょっと眠い」と感じることは誰にでもありますが、ここで二度寝やアラーム機能の使用を繰り返すと、睡眠慣性の症状が悪化します。

 起きて3歩でも歩いたときや顔を洗ったときに、「ああ、寝たな」という熟睡感があればOKです。

 ただ、上記の3つをすべてクリアしていても、「朝は食欲がない」「午前中ずっと眠い」といった場合は、睡眠が足りていない、もしくは睡眠の質が悪い可能性があります。

 そんな人も、眠りのメカニズムを生活習慣に組み込み、深部体温をコントロールすれば、睡眠の質はぐんとアップします。方法は、入浴方法を見直すだけ!

2021.08.13(金)
文=大嶋律子(Giraffe)
イラスト=押本達希