「私ら世代が20年。もういい加減消えて、ですよね」光浦靖子(50)が考える“好感度が急に上がった理由” から続く

「思っていたことをしゃべっていただけ」。光浦靖子のネガティブな思考とその表現力は、『めちゃイケ』という明るすぎる番組にクッキリとした影を与え、気づけば女性芸人のトップランカーになっていた。そして今、『めちゃイケ』が作り上げた「芸人・光浦靖子」を光浦靖子自身がゆるやかに解いていく。「2個目の職業」と「自由」を求めて、50歳の向かう先は。(全3回の第2回/第1回から読む)

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テレビと視聴者の“共犯関係”があった  

――7年ぐらい前なんですが『Quick Japan』(太田出版)という雑誌で『めちゃイケ』特集号がありまして……あの時、私が担当したインタビュー記事に間違いがあって、編集部でめちゃイケメンバーに謝罪に行くというのが番組企画になったんです。

光浦 ああ、ありました。おぼえてます。シンディ(武田真治)のインタビューの最後が切れちゃって怒ってたやつ。

――私たちは「謝罪してるんだけど、なんかちょいちょい失礼」という立ち位置で、そこをメンバーにツッコんでもらっていたのですが、それがすごく難しくて。迷っていた時に、カメラに映らないところで光浦さんたちが「こうやって」って、助け舟を出してくれたんです。

光浦 あれも今の時代だったら、大変だったでしょうね。その人本人とコントの違いが分からない人が増えちゃったから、クレームだらけだったんじゃないかな。あの時代はまだコントはコントって、どれだけ失礼なことを言っても「絶対台本あるでしょ」って観ている人も分かってくれたけど、今はそれが難しくなっちゃった。

――確かに当時はまだテレビと視聴者の“共犯関係”みたいなものがありましたね。

光浦 そう。だからやりづらくなったよね。リアルコントっていうの、もうできなくなっちゃったんですよね。

――光浦さんは『めちゃイケ』でそれをずっとやられていた。ドキュメンタリー担当部門として。

2021.08.07(土)
文=西澤千央
撮影=鈴木七絵/文藝春秋