40年間変わらぬスタレビの“魔力”

 「バンド名を出したら『ああ彼らの歌は間違いないね』と笑顔が返ってくる選手権」「ランキング上位に入ったことはないけど長く深く愛される曲が多い選手権」「MCが漫談選手権」があれば、すべて入賞するバンド。それがスターダスト☆レビュー、略してスタレビ!

 その楽曲は控えめに言ってセンチメンタルかつロマンティックかつファンタスティック。私も狂ったようにヘビロテした経験がある。

 一時期聴き過ぎて、当時恋愛のレの字もない生活だったにも関わらず、すごい濃厚な片思いをしている錯覚に陥った。「今夜だけきっと」の世界を、脳内で自分のストーリーとして置き替え、友人の恋バナに強引に参加した。今思えば単なるヤバいヤツだったが、これぞスタレビの魔力。音楽で甘くステキな疑似体験をさせてもらったなあと思う。今でもラジオでかかれば「おっスタレビ!」と声が出る。

 そんな彼らが活動40周年とは。言葉にするのは簡単だが、彼らがデビューしたときに生まれた坊ちゃんがもうアラフォーだ。そう考えるとなんと長いことか。

 これはもうブギウギワクワク祝わねば!

大空を突き抜ける「夢伝説」のハイトーン

 その長い歴史にふさわしく、スタレビはあらゆる世代を魅了している。テレビ出演はさほど多くないが、定期的に沼への穴がドカンと大きく開くのである。

 1981年のデビュー曲「シュガーはお年頃」に衝撃を受けた方、1984年のブレイク曲「夢伝説」で心奪われた方、1992年~1993年の「追憶」「木蘭の涙」「もう一度抱きしめて」で号泣し沼に入った方は、特に多いのではないだろうか。

 最近では、2020年11月に発売された最新シングル「はっきりしようぜ」が、ハロプロの人気グループ・アンジュルムにカバーされている。ここからスタレビの原曲MVにたどり着きファンになった若者も多いと聞く。おお、令和にもスタレビへの扉が!

 かくいう私は「夢伝説」から入り、後追いで「トワイライト・アヴェニュー」のアカペラバージョンを聴いて完全に落ちるという、王道ロマンティック・プロセスを踏んだ。初めて「夢伝説」を聴いたのはラジオだったが、そのときの衝撃たるや。

「遠い昔のことさ…… 夢で見たんだああ♪」

 聴いていて自然に顔が上に向くほどのたっかいたっかい声! 空の向こうまで突き抜けるようで、本当に爽快だった。

 ちなみに「夢伝説」は現在、高崎線行田駅の発車メロディになっているのだとか。クーッ、駅を利用されている方羨ましい! どんな日も、とりあえず空を見上げるきっかけになっているのではなかろうか。

2021.07.30(金)
文=田中 稲