永遠に「大好きな音楽小僧」のまま

 彼らのバンドの歴史をみると決して順風満帆ではない。特に著作権使用料・印税問題では悩まされ、2度も訴訟を起こしている(2度とも勝訴)。順調どころか、かなり波乱万丈だ。

 それでもGLAYの音楽はヒネクレない。彼らの音楽を聴いていると、どんなに激しい曲でもやさしい主人公が見えてくるし、広大な自然が見えてくる。そして、時代に抗うでもなく、「こっちが無理なら、こんな風にしてみようぜ!」とイマジネーションを武器にして、聴いているこちらの壁を取っ払ってくれるのだ。

 故郷を愛し、価値観を共にする仲間がいる人の揺るぎなさには、本当にかなわないなあと思ってしまう。

 このサバイバルの時代でも、GLAYは永遠に「大好きな音楽小僧」のまま。

 5ヶ月連続配信リリースで配信済みの2曲「FRIED GREEN TOMATOES」、「青春は残酷だ」にも、漂うのは爽やかな風と懐かしい街の雑踏。

「どんなに長い夜もいつも歌ってた あの歌の続きなどを今度教えて」(「FRIED GREEN TOMATOES」)

 彼らのメッセージはいつだって、「次逢える日」を思わせる。

2021.07.19(月)
文=田中 稲