青い花をインクで自作してみよう!

 最後は、最近花業界でよくアレンジに使われる「染めの花」をご紹介します。染めの花とは、生花に染色液を吸わせて、花や葉に色を付けた切り花のことです。

 従来は、色にムラがあったり、色が濃かったりして人工的な印象が強かった染めの花ですが、最近では自然な感じに綺麗に染まっているものが多く、染められる花の種類や、色のバリエーションも飛躍的に増加。

 ぱっと見た感じだと、染めたとわからないような絶妙な色合いの切り花や、染めの花と自然の花を上手にミックスしたアレンジが登場するなど、花業界に新しい流れをもたらしています。

 染めの花の大きなメリットとしてあげられるのが、ドライフラワーにしたときに花色が退色しにくいことです。

 通常の生花をドライフラワーにする場合、比較的濃い色味のものは、ドライフラワーにしても色が残ることがありますが、薄い色、緑や白などは茶色くなってしまうことがほとんど。濃い色の花でも、花の種類によっては色が退色してしまうこともあります。

 その点、染めの花の場合は色がきれいに残ることが多く、特に青やピンク、緑などでその効果が実感できます。花の種類ではバラやカスミソウなどの染め花がドライにおすすめです。

 そんな魅力あふれる染めの花ですが、実は自分で作ることもできます。

 生花を染める専用の染料液もありますが、自宅で気軽に楽しむなら100円ショップなどで販売しているプリンター用の詰め替えインクを使うのがおすすめです。

 やり方も簡単で、詰め替えインクを原液のまま花器などに入れたら、花の茎を斜めに切ってさしておくだけ。青い花を作るなら、青いインクを使います。花の種類はバラやカスミソウの他、カーネーションなどもおすすめ。

 さしておく時間によって染まり具合が変わりますので、淡い色が好きな方は短時間で、濃い色が好きな方は長時間さしておくといいでしょう。

 茎が長いと染まりにくいので、慣れるまでは茎を短めに切って、小さい花瓶に飾る感じで作ると失敗がありません。

 また、プリンターインクにない色の花を作りたいときは、インクをブレンドして好きな色の花を作ることもできますよ。

 今回は「青い花」にスポットライトをあててみました。イギリスやアメリカでは、花嫁がサムシングブルー(何か青いもの)を身に着けると、幸せになれるといわれていて、日本でも結婚式のジンクスとして近年定着しつつあります。

 “幸せの青い鳥”とも言われますので、青は人にとって幸せと結びつく色なのでしょう。

 ご紹介したように、最近では様々な種類の青い花が登場し、その楽しみ方も多彩です。自分なりのやり方で自宅に青い花を飾って、幸せを呼び込みましょう。

佐藤俊輔(さとう しゅんすけ)

フラワーデザイナー。大手百貨店退社後、花の世界へ。2014年モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。'17年「女性自身」(光文社)、’19年日本最大級の花材通販「はなどんやアソシエ」にて季節のアレンジメントを連載。テレビ、ラジオ出演のほか伊勢丹メンズ館のディスプレイ装飾など幅広く活躍。CREA WEBにて「ブルームカレンダー」連載中。

Column

新しい私を、花と。
Playful Flower Life!

花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった新しい花との付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。

 

2021.07.03(土)
文=佐藤俊輔