人の情熱が生んだ花、青いバラとカーネーション

 次に人の手によって作られた青い花をご紹介します。まずは青いバラ。

 バラには青い色素を作ったり、蓄積したりする能力がないために、いくら交配を繰り返しても青いバラを作ることはできませんでした。「青いバラ」が、不可能なものの象徴として様々な国の物語や詩に登場していたのもうなずけます。

 育種は進み、少しずつ青に近い色のものが登場するなど、人々の青いバラへの情熱が尽きることはありませんでしたが、そこに新しい風を運んだのがバイオテクノロジーです。

 2004年、サントリーが世界で初めて、バイオテクノロジーによってパンジーの青色遺伝子を利用することで、青いバラの開発成功を発表。ほのかに紫がかった淡いブルーはとても品があり、さわやかな甘い香りがします。

 現在では、より青らしい青色を追求し開発が進められていて、青いバラの品種も種類がだんだん増えてきました。

 青いバラを常に店頭に置いている花屋さんはまだ少ないですが、確実に手に入れたいときには大きな花屋さんに事前に注文すればOK。特別なバラを傍らにおいて、特別な時間を過ごしてみるのもいいのではないでしょうか。

 この青いバラの誕生は日本だけでなく世界的なニュースになり、ご存じの方も多いかと思いますが、同じ技術を使って青いバラよりも前、1995年に青いカーネーションの「ムーンダスト」が誕生しています。

 このムーンダストは、色の濃淡で沢山の種類が作られているので、青いバラに比べると手に入れやすく、近所の花屋さんに入荷されていることもあると思いますので、探してみてください。

 ムーンダストの花言葉は「永遠の幸福」。何気なく寄った花屋さんで、偶然に青いカーネーションに出会えたらそれこそラッキーです。

2021.07.03(土)
文=佐藤俊輔