「キーボードをカチャカチャ叩く音の騒々しさは、飲食店でのクチャラーの不快さと同レベル」とまで言い切ってしまうと、怒り始める人もいるかもしれません。とはいえ、ふつうに押しただけで入力できるキーボードを、壊さんばかりの勢いで叩き続け、周囲をドン引きさせるほどの騒音を日々発生させている人が、オフィスで陰口を囁かれているケースは実際あったりするものです。
もっとも、キーボードを叩く音の騒々しさは、その人自身が喋る声の大きさと同じで、持って生まれたものであることが多いようで(実に不思議なものです)、気をつけているうちに改善できたというケースは、あまり聞いたことがありません。「何デシベル以上が迷惑」という明確な基準もありませんので、騒音計を片手に「お前のタイピング音は何デシベルを超えているから改善しろ」と言って回るのも無理があります。
何より厄介なのは、こうした騒々しいタイピング音を防ぐための決定的な解決策は、現時点では存在しないことです。とはいえ「完全シャットアウト」は無理でも、「低減」であれば、方法はないわけではありません。今回はそうした、ケースバイケースで役に立つかもしれない「タイピング音の低減策」を、さまざまな観点から集めてみました。果たして役に立つワザは存在するでしょうか?
【初歩の初歩】全面マウスパッドを導入する
もっともベーシックな方法としては、キーボードの下に音を吸収するものを敷くことが挙げられます。身近にあるものならばランチョンマットやタオル、一定以上の効果を期待するのであればマウスパッドの大判であるデスクマットなども候補として挙げられます。さらに上のレベルになると、キーボード専用の吸振マットなる製品もあります。
もっともこれらはデスクに響いている音を吸収して低減するだけで、キーを叩く音そのものが耳障りな場合には、あまり劇的な効果は期待できません。吸振マットのような専用品はともかくとして、対策としてはかなり初歩的なだけに、すでに試してみた(でもイマイチだった)という人も多いのではないでしょうか。なによりタイピング音が騒々しいことに自覚のない同僚に事情を説明して、この方法を試させるのは、別の意味で大変そうです。
2021.06.06(日)
文=山口真弘