古き神社仏閣や歴史的な建造物が建ち並び、今なお伝統と革新が交錯する魅力的な街・京都市。そんな京都市から少し足を延ばして“北京都”へ行ってみませんか? そこにはいつもとはまたひと味違う、新しい京都が待っていますよ。

 第一弾となる今回は言わずと知れた日本三景のひとつ天橋立へ。名前を聞いたことがあるという方は多いと思いますが、実際に行ったことがある人は少ないのでは? 何千年もの歳月の中で自然が造り出した神秘の造形美はまさに絶景のひと言です。


3.6kmにも及ぶ砂浜は“宇宙の玄妙”

 京都駅から北へおよそ2時間。京都の海、宮津湾が見えてきます。一年を通じて波が穏やかな宮津湾は、特産品である天然のトリ貝など多種多様な魚介が揚がる全国でも有数の良質な漁港として知られています。

 その静かな宮津湾にあるのが「天橋立」。陸奥の「松島」、安芸の「宮島」とともに日本三景のひとつとして数えられています。

実際に歩くのも良し、観光船に乗るのも良し

 幅約20~170m、全長約3.6kmの天橋立は何千年もの歳月をかけて自然が造り出した天然の砂州。宮津湾の海流と阿蘇海の海流がぶつかり、砂が徐々に堆積していったことによって形成されました。「白砂青松(はくさせいしょう)」と呼ばれるように、5,000本にも及ぶ青い松並木と白い砂はまるで日本庭園のような整いのある美しさ。金閣寺を建立した足利義満は6度も訪れるほど天橋立に惚れ込み“宇宙の玄妙”と称したと言われています。

 そんな天橋立には「天橋立十景」というものがあります。それぞれの位置によって表情を変える天橋立の美しいビュースポットを選定したもので、そこからの眺望はまるで絵葉書のようです。今回はそのうちのひとつ「天橋立傘松公園」へ。斜め一文字と呼ばれる景観を堪能してきます。

かもめと一緒に観光船へ

 歩いて向かうのも風情があっていいのですが、今回は観光船で向かいます。観光船のりばの側には、天橋立と陸地を繋ぐ文殊水路に架かる「廻旋橋」があります。この橋は全長36mあるのですが、なんと船が通るたびに90度自動で旋回するという仕様。日本国内でも実に珍しい様式の橋なのです。

 観光船は穏やかな阿蘇海を北上していきます。山に囲まれた海上は風も気持ちよく、天気の良い日はデッキに出ると清々しい気持ちになります。観光船4隻の名前はすべて「かもめ〇号」と名付けられているように、かもめの餌やりも人気です。ダイレクトで餌をあげることができれば良いことがあるかも! かもめだけでなくトンビも餌を狙っているので、ご注意を。

 船が到着したらケーブルカーで「天橋立傘松公園」へ。天橋立ケーブルカーで約4分、リフトで約6分で到着します。いよいよ天橋立とご対面です!

2021.06.01(火)
文=CREA編集部
写真=鈴木七恵