個体数の維持すら困難。危機的状況にあるツシマヤマネコ
よこはま動物園ズーラシアのブログでは、飼育員さんと獣医さんによる飼育日誌が好評。今回人工授精に取り組んだ理由についてこう記されています。
1つ目は、全国9施設でツシマヤマネコを飼育して個体数を増やそうと努力していますが、相性などの問題があり自然繁殖だけでは個体数の維持すら困難になってきたということです。個体数を増やすための革新的な技術が求められていました。
2つ目は、ツシマヤマネコの野生での個体数が非常に少ないということです。野生での生息数は100頭前後といわれています。人工授精により数頭しか増やすことができなかったとしても、個体数に与えるインパクトは相対的に大きいため価値があります。
3つ目は、ツシマヤマネコの人工授精が成功する可能性が比較的高いのではないかと考えていたからです。ズーラシアで飼育しているチーターやウンピョウなどの野生ネコ科動物と比較すると生殖生理がイエネコに近く、例数を重ねなくても人工繁殖を成功させるための技術の修正が可能だと判断しました。
(よこはま動物園ズーラシア「ツシマヤマネコ 赤ちゃん成長記④」より)
私たち人間が、彼らが暮らす対馬を開発したことで住む場所や餌を失い、個体数が激減したことを想像すると胸が痛みます。
一方で、このように動物園での人工授精や人工哺育で赤ちゃんが誕生し、成功例ができ、赤ちゃんがスクスク育つことは大きな意味があるわけです。
緊急事態宣言下、遠方から赤ちゃんに会いに行くこともしばらくは難しいけれど、今は動物園も発信に積極的。ブログとYouTubeでも人工授精から赤ちゃんが誕生し育つ様子を見ることができるので(感動作です！)、間近に会えるその日までチェックしておきましょう！
よこはま動物園ズーラシア
所在地 神奈川県横浜市旭区上白根町1175-1
電話番号 045-959-1000
開園時間 9:30～16:30（最終入園16:00）
※予告なく変更することがあります。
※土・日・祝の入園は整理券の事前予約が必要。
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/
※コロナ禍の状況によって、開園条件が変更になる可能性があります。出かける前には公式HP等を確認しましょう。
Column
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2021.05.01(土)
文＝CREA編集部
撮影＝深野未季
