ファイナンシャルプランナー飯村久美さんの著書「お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。」より。上手にお金を増やすために、ちょっとしたテクニックを教えていただきます。


 私がファイナンシャルプランナーとして、これまで1000件を超える家計診断をしてきてわかったのは、収入の多さ、少なさと家計の健全さは必ずしも比例しないことです。

 どんなに収入が少なくても、上手に支出をおさえられれば、お金を増やすゆとりが生まれてきます。その一方で、比較的収入が多くても、お金がなかなか増えないという人もあとを絶ちません。

 それは当然といえば当然のことです。なぜなら私たちの多くは、家庭や学校でお金の使い方や増やし方について教わっていないからです。

 自己流の節約術に何度も挫折して、お金を増やすことをあきらめてしまっている人も多いのではないでしょうか。

 性格的にコツコツと根気のいる節約を続けられないのはお金を増やすことに向いていない性格だからではありません。ちょっとしたテクニックを実践しているかどうかの違いなのです。


節約のために食事を減らしてはいけない

 家計の中で真っ先に削減しやすいのが、食費です。ですが、私は最も削ってはいけないものが、食費だと思っています。

 朝、昼、晩、おやつなども含めると、それぞれ少しずつ切りつめることで、お金を捻出できる感じがします。しかし、切りつめようとするあまり、必要なものまでカットしてしまうと、家族の幸せに悪影響を及ぼすのです。

 ある女性は、「一食100円生活」をしている主婦ブロガーの記事に影響されて、食費を毎月1万円でやりくりしようと決意しました。単純計算で、1日で330円ほどの食費になります。

 もちろん、すべて自炊です。その結果、彼女の家の食卓は「真っ白」になってしまったといいます。

 どういうことかというと、すべての料理を豆腐、モヤシ、白菜、ごはん……といった安い食材で構成せざるをえなくなったのです。そのため、家族はそんな食事にうんざりして、高校生の息子は外で買い食いをするようになったといいます。

 これと同じことは、昨今のサラリーマンやOLにも当てはまります。

 たまに、お昼時のオフィス街のコンビニに立ち寄ることがあります。私が驚いたのが、多くの人がおにぎりとサラダだけ、パンとヨーグルトだけですませていることです。

 もちろん、小食の人ならそれでもかまいません。問題なのは、お金のために無理して食事を減らしている人です。

 一見、節約にもダイエットにもなりそうですが、こういう人に限って、お菓子などの間食をしています。

 あるときそれが、ガマンの限界を超えて一気にリバウンドするほど食べてしまうことがあるのです。無理をすると、お金にも、なにより体にも悪いのです。

2021.04.26(月)
文=飯村久美