この4人とは戦友であり、友達であり。兄弟みたいな感覚
――今回の撮影はいかがでしたか?
遠藤 コロナ禍で、いろんな撮影もストップしていたから、久々に人に会えたのがとにかく嬉しくて。馬鹿騒ぎしている間に終わっちゃった感じです(笑)。俺だけフィリピンに行っている設定だったから、もうちょっとみんなと一緒の場面出してもらえばよかったなあ (笑)。
田口 劇中劇の『アウトローの森』のグリーンバックシーンの撮影時は、おじさんの同窓会みたいな状態で、昔話と健康の話をずっとしてましたね(笑)。
松重 みんな実名を背負っているので、「演じている」というのが見えた瞬間に恥ずかしい人になってしまうんです(笑)。演じていることをいかにうまく消すか。いま、ここにいるのと同じ空気感のまま、「じゃ(カメラ)回します。撃ってください」「はい、バンバンバン(銃を撃つ芝居)」。
銃をスタッフに返して、再び病気や介護の話に戻る (笑)。どこで芝居のスイッチが入るのかわからない、その過程すら作品として成立してしまうのが、この座組みのミソですね。
光石 あと、いまの若い人たちはすごいなと思いましたね。僕が濱田(岳)くんくらいの年齢のころ、60歳前後のおじさんたちのなかにはいったら、ガチガチになっただろうけど、濱田くんも(柄本)時生くんも菜々緒さんもみんな、すごく自然に楽しそうにされてましたよね。
遠藤 俺がフィリピンシーンで共演した女優さんは、実は20年前、初めての三池崇史監督作品『天国から来た男たち』に出ていた子で、偶然再会してびっくりしました。
すっかりベテランになっていて、抱きしめるシーンを撮るとき「エンドー、チョット速い。もうちょっとゆっくり来たらワタシ、涙出すから」とダメ出しされて、言われるままの芝居をしました (笑)。
――お互いのことは、どういう関係だと思いますか?
遠藤 このメンバーとはどんな状況、設定でも打てば響く。何の打ち合わせもなく作れてしまう4人! 今回確信を持ちましたね。
田口 仲間であり、同志でもあり、戦友ですかねえ。
光石 戦友であり、友達であり。兄弟みたいな感覚もありますね。
松重 僕は……同じ病棟の入院患者みたいに思っているんですよね。
3人 ……入院患者??
松重 だいたいこうして、同じような格好をしているし、どんな病気かわからないけれど、俳優という特殊な職業を長くやってきて、それぞれ何かを抱えている(笑)。この病棟はなんだか居心地いいぞ、と個室に行かない仲間という感じがしています。
――世間に「かわいい」と言われていることに関してはどうですか?
遠藤 シーズン1のときに「かわいい」って言われたんだっけ? 2からは、みんな衣装にこだわり始めた気がする。
光石 そうだっけ? 千葉でずっと撮っていたから、そんな噂は全然聞こえてこなかったな。
松重 シーズン2の海からあがるタイトルバックを撮影中、地元の人たちがキャーキャー言っていたんですよ。黒のスーツで5人だったから、「もしかして、嵐に間違われているんじゃない?」と光石さんに振ったんです。そうしたら、「俺はニノかな?」って。
光石 冗談で言ったんですよ!
松重 そのとき「あ、意識するって、こういうことなんだな」と思いました。既に自分のなかにニノを落とし込んでいる。
光石 ないない(笑)。
遠藤 映画の撮影中も、父親みたいな気持ちで「有村架純ちゃん、かわいいよね」と光石さんに言ったら、「うーん。まあ、タイプかな?」だって(笑)。
光石 そうやって、また……(笑)。
遠藤 だから、気分はアイドルなんだよ!(笑)
松重 光石さんは「かわいい」担当ですから。僕ですか? 僕は世話係。
光石 影のリーダー!
松重 大杉さんの腹心でございます。
田口 光石さんみたいに「かわいい」なんて、反応は全然聞こえてこなかったけれど、でも街で女性に「観てますよ! 『バイブレーターズ!』と言われました。
遠藤 どういう妄想……(笑)。作ってるでしょ。
光石 作ってる作ってる。
松重 記事にしづらいですよ(笑)。
田口 僕は下ネタ担当だから!
遠藤 俺はおはしゃぎ担当!
2021.04.10(土)
文=黒瀬朋子
撮影=佐藤 亘