「少年法」を扱ったテーマが大きな話題を呼んだ映画『許された子どもたち』で、主演を務めた上村 侑。映画デビュー作ながら、その演技力が高く評価され、2021年1月「毎日映画コンクール 新人賞」を受賞した。そんな彼の心情に迫る。
●さまざまな職業を演じられることで、俳優の道へ
――上村さんの幼い頃の夢は?
小学生の頃は、将来なりたいものが1年ごとに変わっているような感じだったんですが、もともと人前に出て、何かをするのが好きでしたし、「俳優さんだったら、いろいろな職業を体験できるかも?」と思っていました。
母の勧めもあり、中2のときに事務所に入りました。最初のお仕事は、再現ドラマでした。エキストラのお仕事も、いろいろやっていたのですが、そのころ事務所の方の勧めで、内藤瑛亮監督の映画ワークショップに参加することになりました。ワークショップを受けるのも初めてでした。
――『許された子どもたち』の出演者ワークショップでは、どのようなことを学ばれたのでしょうか?
ワークショップでは、いじめや少年法について、とことん話し合いました。たとえば、フィジカルないじめを体験するために、ゲーム形式のロールプレイをやったり、いじめと弄りについての違いを議論したりして。映画に向けて、というよりは知識を深めていくといったものでした。
――そして、ワークショップ最終日に、主人公である絆星(きら)役に抜擢されました。
その後に台本を渡されたんですが、そのときは「キャストの一人として頑張ろう」といった程度で、主演という大きなものを背負っている実感はありませんでした。主演であることを実感したのは、完成した作品でエンドロールが流れ、いちばん最初に自分の名前が出てきたときでした。いろんな人たちの作品に対する思いを感じたんです。
2021.04.09(金)
文=くれい 響
写真=平松市聖