器質性便秘には他にも、潰瘍性大腸炎やクローン病などがあるが、いずれも腸管の一部が狭くなっていることが原因。その原因を突き止め、早急な治療が求められる。

3つの「機能性便秘」

 一方の「機能性便秘」は、さらに3つの分類がある。「弛緩性便秘」「直腸性便秘」「痙攣性便秘」だ。

 弛緩性便秘は、加齢や薬剤(精神安定剤や医療用麻薬など)の副作用として起きることが多いタイプの便秘で、腸全体の動きが鈍くなって起きるもの。

 痙攣性便秘は、腸が便を肛門に向けて送り出すための連動した動きができなくなり、腸のあちこちが勝手に動いてしまうことで起きる便秘だ。こちらは原因として憩室症(大腸の腸壁に袋状の“部屋”ができる病気)や過敏性腸症候群(精神的なストレスに反応して腸が正常な動きができなくなる病態)がベースにあることが多い。

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 そして今回の記事の柱となるのが、3つめの「直腸性便秘」だ。その仕組みを久保田医師が解説する。

「大腸を通ってきた便が直腸に達すると、センサーが感知して脊髄と脳に情報が伝えられます。情報を受け取った脊髄は、反射的に腸を収縮させて便を外に出そうとします。一方の脳も、肛門括約筋や腹筋など関係諸器官に向けて排便をアシストするように指示を出します。ところが、この連携がどこかで破綻すると、便が直腸に留まってしまう。これが直腸性便秘です」

 なぜその連携が破綻するのか。

 久保田医師によると、高齢者の場合は直腸のセンサーの鈍化。これは加齢による現象なので仕方ない面もある。

便意を「後回し」にしてませんか?

 しかし、女性の直腸性便秘は、便秘の患者である当人に原因があることが少なくないというのだ。

「センサーが正常に作動し、関係諸器官もスタンバイOKとなっても、ご本人が排便行動をとらなければ便は出ません。これを繰り返しているうちに、諸器官のほうが、『せっかく準備して待っているのに、そっちに出す気がないならもういいよ!』と不貞腐れてしまうのです。その結果、直腸に便が来ても動きが起きず、いつまでも便がそこに滞留して便秘になっていく……」

2021.04.05(月)
文=長田昭二