茶藝館でまったり
ゆったり優雅なひととき
13:00
中華街大通りを進んで善隣門をくぐり、左へ曲がって地久門へ。そこから見えるのが、中国茶専門店「緑苑(りょくえん)」です。1階をのぞくと、台湾や中国のお茶の産地から届く銘葉を中心に、良質の花茶、健康茶までバラエティに富んだセレクションで100種類ほどの茶葉が揃っています。
「緑苑」の2階に上がると、本格中国茶藝館「茗香閣(めいこうかく)」の入り口が。茶藝館とは、中国茶を楽しむ喫茶店のこと。自分でお湯を注いでお茶を淹れながら、ゆったりとした時間を過ごせる空間です。
「茗香閣」では、中国茶のおいしい淹れ方と飲み方の知恵を流儀に仕立てた「工夫茶(コンフーチャ)」を体験できます。工夫とは、手間暇をかけるという意味だそうで、工夫茶は、「丁寧に時間をかけてお茶を淹れる」というもの。宮廷ではじまったスタイルで、いわば茶道のようなものです。せっかくなので、ここでしか味わえない銘茶を工夫茶式でいただきましょう。
中国茶は色を名前に用い、緑茶、紅茶、青茶、白茶、黄茶、黒茶などと呼ばれます。基本的には日本茶と同じ茶葉を使って発酵させており、茶葉の発酵方法によって分類され、味や香りがだいぶ変わってきます。
大きく分けると、発酵していない緑茶は体を冷やすお茶。紅茶をはじめとする発酵茶は体を温めるお茶。それ以外に、菊、ジャスミン、金木犀、くこなど、体の不調に合わせてブレンドする、花茶や健康茶があります。多種多彩の中国茶。体調や気分、勘をたよりに選んでもよいでしょう。セレクトに迷ったら、スタッフに指南を。
今回は、中国茶専門店でないとなかなかお目にかかれないという武夷岩茶(烏龍茶)をオーダー。中国福建省武夷山で育つ茶の木は、硬い岩肌に、気の遠くなるような時間をかけて根を張り、ミネラルをたっぷり吸収して育つため、砂の土壌で育った茶葉とは違った味わいのお茶に。
茶葉の種類によって異なる工夫茶ですが、初めてでもスタッフが淹れ方を説明してくれるので気軽に楽しめます。1杯目はスタッフが淹れた中国茶を、2杯目以降は教わった淹れ方で。
おいしいお茶の淹れ方のコツは、茶盤の上に茶葉を入れた茶壺を置き、できるだけ高いところからお湯を注ぐこと。勢いよく注ぐことで、表面に浮いてくる泡(アク)をとることができるそう。茶壺の蓋のフチで泡を切り、蓋をし、茶壺の上から全体にお湯を注いでお茶を蒸らします。
蒸らし終わったお茶を茶壺から茶海に移し、まず細長い聞香杯に注ぎます。聞香杯は、香りを楽しむための杯。20秒ほど待ってお茶を茶杯に移し、空になった聞香杯で香りを「聞き」ます。五感をとぎすまし、どこか清らかでほのかに甘い香りに耳を傾けましょう。
そして、茶杯のお茶は、ワインのテイスティングと同じように、まず目で美しい色合いを楽しみます。そして空気を含みながら口に運び、舌の上へおき、香りと一緒に味を確かめます。このとき、音をたてて口に含んでもOK。香りに浸りながら味わうお茶は、まろやかに広がり、さまざまなイメージが膨らみます。
2杯目、3杯目と、味も香りも変わります。淹れるたびに最後の1滴まで出すことが重要で、6杯くらいまでおいしくいただけます。心静かに香りを聴き、1煎ごとの味の違いを満喫する。そんな至福の時間をゆるやかに味わえる中国茶体験です。
「茗香閣」では中国茶のレッスン、お茶会も好評です。カリキュラムは全25回(1レッスン1人1時間5,000円・税込)。教えてくれるのは「緑苑」「茗香閣」のオーナーで中国茶のエキスパートでもある、日本中国茶普及協会講師の周永泰先生。毎回異なるお茶を取り上げ、中国茶の持つ豊かな香りを引き出すおいしい淹れ方のコツや、暮らしの中で気軽に飲んで楽しむための必要な基礎知識に触れられます。
足を運ぶたびに新たな魅力を発見できる横浜中華街。本場中国の「食」と「文化」をめぐる今回の「5 hours Trip」は、いかがでしたでしょうか。次回の「5 hours Trip」もぜひお楽しみに!
中国茶藝館茗香閣
所在地 神奈川県横浜市中区山下町189−9
電話番号 045-651-5651
営業時間 12:00~20:00(19:30L.O.)
定休日 木曜
心躍る非日常空間へプチ旅行
ヨコハマ 5 hours Trip
2021.03.21(日)
文=大嶋律子
写真=釜谷洋史
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