世代を問わず楽しめる国民的番組「NHK紅白歌合戦」は、日本最高峰のエンターテインメントと言っても過言ではありません。ある人は1年を振り返り、またある人は遠きふるさとを思い出すことでしょう。それぞれの人生が投影されるのがこの番組です! 今回は年末の風物詩、紅白の楽しみ方をまとめました。

 しかし今年は100%例年通りとはいかなさそう……。そのあたりもしっかり予習しつつ、いざ紅白の世界へ!

2020紅白は史上初の無観客開催

 前情報、しっかりチェックしていますか?

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、今年は初の無観客開催。放送時間は午後7時30分からです。例年より15分遅いスタートなのでお間違えなく!

 総合司会は4年連続の内村光良。「LIFE!」とのコラボはもう食傷気味なので、改善が待たれます。紅組司会を務めるのは朝ドラ「エール」のヒロイン二階堂ふみ。白組は嵐かと思ったら大泉洋(大人の事情か!?)「SONGS」の責任者なので、ナイスな人選です。同じく「SONGS」ナレーション担当の戸次重幸となにかしら放送内で絡みがあるかも知れません。審査員は近年11組でしたが、今年は黒柳徹子、サンドウィッチマン、杉咲花、染谷将太、チコちゃん、宮崎美子、宮本亜門、室伏広治、吉沢亮の9組に決定しました。

 さて、今年のテーマは「今こそ歌おう みんなでエール」。朝ドラ「エール」とかけてNHKでは今年「みんなでエール」プロジェクトを実施してきました。8月に放送した特番「ライブ・エール」も内村光良と桑子真帆アナが司会をしていましたが、その流れがそのまま紅白に受け継がれます。つながることができない状況が続いたなかで、歌が癒し、奮い立たせてくれる。そんな、歌によるエールを受け取れるないようになると思います。

 と、今年の事情をざっと説明したところで、ここからは楽しみ方をお伝えしていきます。

紅白はあくまで勝敗をつける「歌合戦」

 まずは視聴の心構えから。忘れてはいけないのが、紅白が「歌合戦」だということです。勝敗をつける必要はないという論争もありますが、アーティストにとって紅白の舞台は戦場。私たちも真剣に鑑賞し、勝敗をジャッジしたほうが間違いなく楽しめます。

 好きなアーティストが出ている組を応援する、というだけでは不誠実です。事前に個人的な採点表をつくり、厳正に審査をしてみましょう。おすすめの方法は「歌唱点」「衣装点」「演出点」「その他追加点」をそれぞれ5点ずつとし、1組あたり合計20点満点で計算する採点法。最終的に組の合計点が多い方を勝ちとするとわかりやすいです。昨年の例でいうと、氷川きよしは歌はもちろん(歌唱点5)、和服からビジュアル系衣装への早着替えあり(衣装点5)、巨大ドラゴンあり(演出点5)、さらに応援ゲストに野沢雅子登場(その他追加点5)とすべての項目で満点でした(個人の見解です)!

 歌に演出はいらない! 演歌のバックでアイドルを踊らすな! などの意見もありますが、紅白での歌唱は総合芸術として捉えましょう。歌、衣装、演出すべてが重要な審査対象なのです。豪華衣装もマジックもギネス挑戦も喜んで迎え入れましょう。もちろん派手な衣装や演出だけが高得点なわけではありません。12年に黒髪のかつら、黒衣装、黒背景でスポットライトの中「ヨイトマケの唄」を歌いきった美輪明宏も満点でした。至極シンプルであることもひとつの演出なのです!

 ちなみに今年の勝敗は新ルールの投票で決まります。無観客開催となるため、審査はテレビのデータ放送からの投票のみで行うそうです(ゲスト審査員も同じ投票方法)。例年の視聴者投票と違うのは、テレビ1台あたり最大5票投票できるという点です。投票できる票の数は、テレビの視聴時間に応じて増えます。放送を視聴し始めたら1票獲得。その後、5分連続視聴を10回達成するごとに票が増えるようです。全対戦終了後の投票時間中、テレビのリモコンボタンで紅白どちらかを選ぶと、選んだ組に票が入ります。ちなみに紅に3票、白に2票などの分割投票はできません。これはザッピング厳禁! あなたも審査員のひとりという気持ちで、俯瞰して紅白を楽しみましょう。

2020.12.30(水)
文=綿貫大介