稲佐の浜の砂は、あることをすることで、“お清めの砂”に変わる

 ちなみに、稲佐の浜の砂は、あることをすることで、“お清めの砂”に変わります。

 稲佐の浜の砂を浜辺からいただき、出雲大社の北側にある須佐之男命(すさのおのみこと)を祀る素鵞社(そがのやしろ)の床下の砂と交換。

 すると地鎮祭にも使われる、邪気を払う力をもつ神の砂を持ち帰ることができるのです。建物の四隅などに置くことで、厄払いにもなるそうです。

 稲佐の浜から北へ約8キロ、日御碕(ひのみさき)も日本海に夕陽が沈むサンセットの名所です。

 そしてここには日没にちなんだ「日沉宮(ひしずみのみや)」が、日御碕神社に祀られています。

 日沉宮は、天照大神を祀る社です。天照大神といえば、日の出の太陽の象徴とされますが、ここ出雲では日の入りの太陽の象徴。

 江戸時代には、日沉宮は日が沈む聖地に建つ宮として、崇められていたそうです。

 そして江戸時代後期の『出雲神社巡拝記』によると、人々は伊勢で日の出、出雲で日の入りを拝めば安泰、と信じられていたそうです。

 ちなみに、天暦2年(948年)まで日沉宮があった日御碕神社の西に浮かぶ日置島(経島<ふみしま>)では、毎年8月7日に夕陽の祭“神幸神事”も催されています。

2021.01.02(土)
文・撮影=古関千恵子