籍を入れる入れない問題、さまざまな選択肢

 籍を入れるか入れないか、というのは2人だけの問題ではなく様々な事を考える必要があります。

◆事実婚という選択…同棲との違いは?

 事実婚とは、入籍はしないけれど夫婦と同様の状態にある2人のことを言います。一般的な夫婦との違いは「入籍していない」という事だけです。「それなら同棲ではないのか?」という意見もあるかと思います。

 同棲というのは恋人同士の扱いで、社会的な認知はほぼないと言えるでしょう。事実婚は同棲とは違い、結婚した夫婦と同じような立場にありますので利用出来る法律もあります。

 この2つの大きな違いは「住民票」に現れます。同棲であればお互いの住民票は個別のものですが、事実婚であれば住民票への記載が「妻(未届)」「夫(未届)」となります。つまり「自主的に届けてはいないけど夫婦です」という意味を持った書類が発行されるのです。同棲と事実婚は似ているようで実際は大きな違いがあると言えるでしょう。

◆税金が軽減されないデメリット

 籍を入れないデメリットとしては配偶者控除や扶養控除など、税金を軽減する方法を受けられないことが上げられます。

 「配偶者控除」とは、一定の条件を満たす配偶者がいれば、所得税などの負担が軽くなることで、「扶養控除」とは、16歳以上で合計所得金額が年間38万円以下の人を扶養していれば、税金の負担が少なくなることを言います。

 事実婚の場合はこれらが受けられないので、所得税・住民税などの税金が軽くなる優遇措置を受けることが出来ません。他にも相続など、さまざなな形で入籍していないことのデメリットが発生するのもまた事実ではあります。

 なお、事実婚の場合どちらかが亡くなったとしても、遺産の相続、また生命保険の受け取りができないという点も大きな問題と言えるでしょう。

2020.11.14(土)
文=bridge