【その7】見逃しても安心な「土曜の振り返り番組」も必見

 1961年にはじまった朝ドラは月から土まで、週6回放送され続けてきた(第2作目以降)。

 習慣化されやすい放送日程から、自ら積極的に見なくても子供のとき親が見ていたのでなんとなく見ていたというような記憶がたいていの日本人にはあるだろう。

 これまでは主な視聴者は主婦層だったが、水木しげるとその妻をモデルにして漫画の世界を濃密に描いた「ゲゲゲの女房」や宮藤官九郎の脚本で笑いや80年代のサブカルチャーを盛り込んだ「あまちゃん」などによって、大人になってから改めて見始めた視聴者が増えてきたというのが最近の朝ドラ。

 「エール」からは週5日の放送となり、土曜は、その週の振り返りをバナナマンの日村勇紀をナビゲーターにして行う。見逃してしまった週も、この振り返りでおさらいできるので安心だ。

【その8】「朝ドラ送り」「朝ドラ受け」を見て、3度楽しい

 朝ドラの視聴率は平均で20%を超えており、「みんなで楽しむ」という認識が高まっている。

 朝ドラ放送直前のニュース番組「おはよう日本(関東甲信越)」では、前日見た感想とこの後の期待を述べる「朝ドラ送り」、放送後の「あさイチ」ではいま見たばかりの率直な感想を語る「朝ドラ受け」が出演者によって行われ、それも合わせて見ることが朝ドラファンの楽しみになっている。

 朝ドラ送りは高瀬耕造アナ、朝ドラ受けは朝ドラ好きの博多華丸・大吉の華丸が積極的に行っている。

 朝ドラ送りは、熱心な高瀬アナに対して、一切見ていない和久田麻由子アナのあしらい芸も楽しみだったが、「エール」から桑子真帆に代わり、そろって朝ドラ応援体制になるようだ。

 朝ドラはもはや、ドラマを楽しむだけでなく付随したエンターテインメントを楽しむ時代になっている。

 以上8つの基本的な楽しみを、「エール」はクリアしている。スタートとしては盤石であろう。

 ユニークな脇役、朝ドラあるある等、まだまだ朝ドラの楽しみどころはあり、それが「エール」ではどのように取り入れられ、また、これまでと違う挑戦をどれくらい行うのか……見守っていきたい。

※こちらの記事は、2020年4月6日(月)に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.04.19(日)
文=木俣 冬