6. 妊婦・肥満・高齢者のリスク
妊娠中の女性はレントゲン、CTなどの検査を避けている立場であり、風邪症状の投薬も慎重にならざるを得ない。婦人科の医療関係者からは特別な対応をとの声が上がっている。
また、糖尿病や循環器病、脳血管障害を持つ免疫機能が低下している高齢者が感染しやすいと厚労省もアナウンス中だ。高山医師が解説する。
「糖尿病や肝硬変では免疫機能が低下することが分かっています。ウイルスに感染しやすく、悪化させやすい慢性疾患です。また脳梗塞は、痰の排出を困難にするなど二次肺炎を引き起こす可能性が高い」
実は肥満も免疫機能が低下するリスクだという。
「高度の肥満になると、肺の換気機能を物理的に低下させるため、肺炎を発症しやすく、治癒しにくいと言われています。09年の新型インフルエンザ時の研究では、BMI40以上の高度肥満の人は普通の人に比べ36.3倍の死亡リスクがあることが判明しました」(同前)
高齢者には別のリスクもある。たかせクリニックの髙瀬義昌理事長が指摘する。
「高齢者、特に認知症患者は、普段から偏った食事をしてしまいがち。栄養バランスが崩れると免疫力も落ち、感染症にかかりやすくなる。かかりつけ医と相談して、万遍なく栄養を摂取できるドリンク剤を飲むなどの対策をするといいでしょう」
高齢者施設の問題点も。
「持病のある方が集住し、認知症患者など感染対策が困難な人も多い。流行期に入ったら面会訪問を制限し、入居者の外来通院を一時的に訪問診療にするなど、感染者との接点を制限する方法を施設側が考える必要がある。
また、高齢者施設を狙って効果が不明確な感染対策商品を売りつける悪質セールスも予想されます。施設側が正しい情報を元に、適切な対応をとることが求められるでしょう」(前出・高山医師)
2020.03.27(金)
文=「週刊文春ムック」編集部