オバマ大統領への手紙をみんなで考える

 先日、1年生になって初めてのOpen school(授業参観)がありました。学校制度が違うので(注1)、授業方法も違って興味深いです。例えば、先生の講義は床に座って聞くんです。床に升目のあるカーペットが敷いてあり、座る場所が決まっています。授業態度によって先生が場所を変更することも。個人作業は、日本の幼稚園で見かけるような長方形の6人がけのテーブルで行います(座席指定あり)。

 個人主義の国だけあって、個性を尊重したカリキュラムでもあります。生徒ごとに学力が異なるという前提に立ち、国語(英語)も、算数も、個人作業の時間は学習内容が違います(似た学力の生徒が二人一組(注2)で行う共同作業の時間もあります)。また、補助的な教材はあっても、指定の教科書がないので、Reading(読解力)ではレベルにあった絵本が教科書代わり。州が定めるチェック方法を元に、先生が定期的に試験をしてレベルを確認しています。

授業参観のひとこま。朝礼の時間に、1年生が覚えないとならない超重要単語Sight Wordsの中から、今週の単語を書いて練習しているところ

 授業参観は、朝礼、1時間目Writing、2時間目Reading、3時間目算数ゲームという時間割でした。中でも、面白いなと思ったのが1時間目。1年生なのに時事ネタが授業に組み込まれていて、“オバマ大統領へ手紙を書く”がテーマだったんです。1週間前に個々の手紙を書いたので、この日は「クラスからの手紙には何を書く?」ということを話し合いました。手紙の書き方だけでなく、どういう風に自分の考えを言葉にして、他人に理解して貰うのかを学ぶ機会にもなっていました。発言をしたい時や質問がある時は、必ず挙手。勝手に発言したり、誰かの話を遮ると、「そこまで厳しくしなくても」と思うくらい、ビシッと怒られます。内弁慶の息子を持つ身としては、ハキハキと自主的に話す子たちを羨ましく思っていたので驚きました。他にも先生に許しを得れば、授業中にトイレに行ったり、水を飲んだりが許されています。授業の途中で先生から「子どもの隣へ座りたい人はどうぞ」と言われ、親が移動すると、膝の上に座りだす子も!? そんな姿に刺激されて、息子も私の膝の上で授業を受けてしまいました。

どういう風に本を読むと良いのか、ということが教室に掲げられていました。先生の手作りで、教室ごとに、飾られているものが異なり、担任の先生ごとに、授業内容も違います

※注1:州ごとに独自のカリキュラムでしたが、各州が協力してCommon Core State Standard(全米共通学力基準)を定めました(少ないですが参加拒否の州もあります)。NY州は今年度から教育現場に導入しました。と、今、アメリカの教育制度は過渡期です。が、全米共通学力基準にNY州共通学力基準が加わり、更に校長の方針、担任の方針も加わるので、学校ごとに個性がでてきます。またマンハッタン内でも、地域の教育格差は大きく、公立でも学力に差が出るので、学校のために引っ越す親も少なくありません。また、学区はあるものの、越境も許されているので、NY市の親は必死です。いわゆるお受験は、日本の幼稚園なら年長進級のときになり、小学0年生とも言われています。

※注2:読書パートナー、筆記パートナー、算数パートナーがいて、更に、教室移動や遠足の際に手をつないで歩くパートナーもいます。

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2012.11.29(木)