いつも踊らせようとする
そんなところが好き

光石 (思い出野郎の歌詞は)いっつもダンス、ダンスって言って、踊らせようとしてる感じがあるじゃないですか。そのイメージがものすごく好きですね。

 COOLSのジェームス藤木さんって僕は中学生からの大ファンで、あの人もとにかくダンスさせたがるんですよ。

 今年自伝も出てそれも最高なんですけど、1988年に、藤木さんがJBスタイルのザ・デュークスってバンドを作ってやった2枚組のライヴ盤(『ダンス・エクスプロージョン ―完全盤―』)があるんですけど、それをぜひ聴いてほしいですね。

高橋 そうなんですか。COOLSは知ってるんですけど、聴いてみます。ダンスって言葉は、僕らが中高生の頃はポップスの歌詞にもはや出てこないものになっていて。

 昔のソウルの曲を聴いていくとダンスって言葉が自然に出てたから、なんとなく昔は「みんながオシャレしてダンスして」みたいなカルチャーがあったんだなとぼんやり憧れていたんだと思います。

光石 バブルになってジュリアナのお立ち台とかになる前は、僕らもみんなダンスしてたんですよ。

高橋 多摩美でもサークル棟の真ん中にある広場にターンテーブル出して、みんなでDJの真似事とかしてて。最初はみんなシャイだからすぐに踊りには行けないんだけど、だんだん慣れていって。

光石 ダンスは大好きですね。僕は踊れないけど(笑)

──思い出野郎の「ダンスに間に合う」という曲も、今やってるパーティーにギリギリ間に合うという意味もあるけど、そういうかつてのダンスカルチャーの持っていたものの継承に間に合うという意味もあるのかも。

高橋 確かに、そういうところはあるかも。意識しないけど、歌詞にダンスって言葉、めちゃくちゃ使ってますね。

2019.11.09(土)
構成・文=松永良平
撮影=佐藤 亘