「国民」から「人々」へ
グローバルな視点をお持ちの両陛下

 そしてもうひとつ考えたのが、「新しさ」のことだった。

 追悼式での陛下の「おことば」は、上皇さまから引き継いだものが大半だった。だが、新しくされた部分もあった。そのひとつに、「終戦以来74年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが」がある。昨年の追悼式で上皇さまは、「終戦以来既に73年、国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが」と述べられた。

 「国民」から「人々」へ。日本国籍を持つ国民だけでなく、あらゆる人々。グローバルな視点を持つ陛下と雅子さま、令和の視点を感じたのは私だけではないはずだ。そして、大きく開けたグローバルという視点の先に、新しい雅子さまがあるといいな、と思わずにいられない。

 適応障害という病の療養期間が長かった皇太子妃時代の雅子さまが、皇后になって明るくなられた。同世代の女性として、とてもうれしい。そしてこれからますます、雅子さま流を見せていただきたいと思う。そのひとつがファッション。新たな雅子さまのスタイルを、どんどん見せていただきたい。

 美智子さまが「グレーのストッキング」という解を見つけられ、質素倹約と日本の伝統を生かすというポリシーを打ち出された。雅子さまは元々おしゃれな方だから、きっと既に「解」をお持ちなはずだ。ためらわずに、打ち出していただきたい。だって、令和なのだから。

 グレーのストッキングの先にある、新たな一歩。雅子さま流ファッションが、ますます楽しみだ。

※こちらの記事は、2019年8月25日に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2019.10.21(月)
文=矢部万紀子