作る人の気持ちが込められているパン

食パンは1日2回14時と16時に焼き上がる。1本780円

「フロイン堂」は、昭和7年の創業。神戸の老舗「フロインドリーブ」で修業した初代が、暖簾分けの形で始められたそう。初代は戦争で小麦粉が手に入らなくなると、麦を植えて粉にしてパンを焼き続けたといいます。今も昔のままの一軒家。創業時からの煉瓦の窯で焼き、生地もずっと変わらず手こねしています。ミキサーなどの機械は使いません。「うちのパンが他と何か違いがあるとすれば、すべて手でこねているからでしょう。作る人の気持ちが込められているんです」と、2代目・竹内善之さん。

バゲットや田舎パンなどは、11時半頃の焼き上がり

 阪神淡路大震災にも耐えたパン窯とお店。ガラリとガラス戸を開ければ、優しく香ばしいパンのにおい。木の棚にはずらりと食パンが並んでいます。でも、そのほとんどは予約で売れているのです。遠くから予約をして、わざわざ買いに行く。それは、手でこねて煉瓦の窯で焼いている、特別なパンだから。3代目の隆さんは、当初からの食パンやぶどうパンに加え、田舎パンやバゲット、ライ麦パンなど、天然酵母のハード系のパンも焼いています。それらのファンも増えつつあります。

 ジャムパンもあんぱんも作らない老舗パン屋さんが、さりげなく作り続けているおやつ、ドーナッツ。

「生地のひっぱりがあるでしょう!」

 そうそう、それがクセになるんです。パン好きにとっては、たまらないドーナッツです。

フロイン堂
住所 兵庫県神戸市東灘区岡本1-11-23 
電話番号 078-411-6686

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2012.10.28(日)