■星野リゾート 界 松本 (後篇)

 国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネスな旅」です。

 この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介。前篇に引き続き、「星野リゾート 界 松本」からレポートします。


名湯の効能を実感する
女性限定の「入浴指南」とは?

 そのルーツは飛鳥時代にまで遡るという浅間温泉。江戸時代に松本城のお殿様が通い、明治時代には与謝野晶子や竹久夢二ら多くの文人に愛されたお湯は、今も滾々と湧き出ている。

 お湯はなめらかで、まるで肌を柔らかく包み込むかのよう。アルカリ性のお湯が皮脂の汚れを落とすので、入浴前は優しく全身を洗うだけで十分。体への負担が少なく、年代を問わずに安心してゆっくりと入ることができる。

 この名湯の恩恵を最大限に享受できるのが、「星野リゾート 界 松本」の女性限定サービス、「入浴指南」だ。

 「界 松本」に限らず、全国の「界」では「うるはし現代湯治」を展開している。これは、温泉の本質から入浴法、温泉呼吸法、入浴後のくつろぎ方、マッサージなどを通じて、1泊2日の短い滞在でも湯治の効果を上げるのが狙い。

 「入浴指南」は、さらにこれをバージョンアップさせた「界 松本」のオリジナル。温泉にただ入るだけでなく、スタッフによる入浴指南を受けることができる。

 指南といっても、難しく考えることはない。お湯の心地よさを体感しながら、湯治の効果をじわじわと実感していくのが面白い。

 湯殿の入り口に用意されているのは、砂時計、ミネラルウォーター、防水仕様の入浴指南書。

 「温泉にペットボトルを持ち込んでいいの?」と躊躇していると、「1回の入浴で失われる水分は約800ミリリットル。入浴前後だけでなく入浴中も水分補給を心がけることで、長く温泉入浴を楽しんでいただくことができます」と、温泉ソムリエの資格を持つスタッフの星恵理子さんが教えてくれた。

 砂時計は長湯して湯疲れしないようにするためのもの。入浴指南書は、温泉の入り方がひと目で分かるもので、温泉を楽しむ三カ条(深呼吸、水分補給、20分以内の入浴)、各温泉の入り方や効能まで紹介されている。この三種の神器を持って、いざ、温泉へ!

2018.10.28(日)
文=芹澤和美
撮影=佐藤 亘