「家政婦は見た!」
第1作の原作者は誰?
大野 まず、2時間ドラマの全盛期を考えると、1986年に施行された男女雇用機会均等法の影響はあると思います。ちなみに火サスの「女検事・霞夕子」(主演・桃井かおり~鷲尾いさ子)シリーズが、フジテレビ系に移って「検事・霞夕子」(主演・沢口靖子)になったりするのは、その後の改正雇用機会均等法の影響があったのではないかと憶測しています。
速水 わざわざ検事に「女」を付ける必要はないと。
大野 スチュワーデスがキャビンアテンダントに言い換えられたりするのと似ているかもしれません。97年の改正均等法では、深夜業務などの女性保護規定がなくなるんです。
速水 職業意識の変化を2時間ドラマは反映しているんですね。
大野 でも、家政婦だけはずっと「婦」で女を捨ててないんですよ。やっぱり(市原)悦子は女を捨てないんだなって。素敵だなと思いました。
速水 「家政婦は見た!」シリーズもたしかに職業ものだ。このシリーズって、2時間ドラマとしては変化球ですよね。旅もグルメもなければ殺人すらない。
大野 そう、だから土ワイの企画会議でもなかなか企画が通らなかったんです。初代チーフプロデューサーの井塚英夫さんが独断で企画を通したとのことでした。主婦はお金持ちの日常をのぞき見するような内容が好きに違いないからって。
速水 ワイドショー的な2時間ドラマを作れと。
大野 ちなみに当時の土ワイのスタッフは、ワイドショーから移動してきた人たちが多かったという話もあったり。
速水 ちょっと再現ドラマっぽい感じですよね。ちなみに2時間ドラマファンの間では有名ですけど、第1作が松本清張の原作(「熱い空気」1963年)のドラマ化なんですよね。
大野 最初の1作だけで、あとはオリジナル脚本でつくられてます。
速水 結構、実際の事件を題材にしてたり、社会派だったりしますよね?
2018.10.20(土)
構成=速水健朗
撮影=深野未季
写真=文藝春秋