「人生はお互いさま、小さな親切を惜しまない」
「人さまがあって、自分があると心得る」
これは、うちの家訓のようなものです。うちの両親は、ささいなことでもまわりの人への思いやりを、日常のなかで示してくれていました。
朝早くに寺を詣る人がきても、いつでも門を開け、梅干とお茶で「ようこそ」と迎えていた父。学生時代の友人たちが家に泊まりにくると、手づくりのごはんを食べさせ、夜中に友人たちの靴まで磨いてくれていた母―。ひとむかし前まで、父母たちのようなふるまいの日本人が多かったように思います。
親切を特別なものにしない行為が、思いやりであり、「功徳」です。
その反対に、どこか見返りを計算して動いているのは、親切ではなく「不徳」。「不徳の致すところ」って、「自分の徳が足りない」ことを悔いるフレーズですよ。
普通に暮らしていると、不徳のことが増えていくわけで、だから自分が与えることができる機会があったら、積極的にまわりの人を思いやって、徳を積んでおきましょう。
困ってる人がいたら、子どもでもお年寄りでも、ワンちゃんでも、スッと手を差しのべる。してもらってうれしかったやさしさは、次の誰かにしてあげる。お互いさまだから、芯から辛いときは、人に頼ってもいいんですよ。
一人で生きている人はいないし、一人で幸せになったってしょうがないでしょ、独裁者じゃないんだから。この世は助け合いで成り立っているんです。
◆キーワード
・小さな親切
・功徳を積む
人間関係に悩む
あなたへの特効薬
2018.08.30(木)
文=松尾法道
写真=文藝春秋
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