九州・長崎にある興福寺の住職・松尾法道さん。「龍にまもられてきた」というご住職のオーラに、通称「赤寺」と呼ばれる不思議な寺のパワーも相まって、ご住職のもとにはいろいろな悩みを抱えた方がやってきます。数多くの人生相談を受けるうちに見えてきたのは、<運気に恵まれている人は、日常生活を浄めて生きている>ということ。
つまり、ツイている人になるには、心の基礎代謝をぐっと底上げするべしっ、てわけです。そんな運気の代謝をあげて、ムリなく幸福を引き寄せる人生上昇術をまとめた著書『「運気の代謝」があがる! 日常作法のコツ』より、人間関係をスムーズにする作法を教えてもらいます。
「世代の違う人と軽やかにつきあう」
「60代って、マジっすか」
わたしのお誕生日に18歳の子から、こんなメールが届きました。「マジっすか=すごいですね」なのかしら(笑)。仕事関係の上下もない、若い世代とのおつきあいで、そういうやりとりができるって、楽しいじゃないですか。
女子高で講師を務めていたときがあったんだけど、わたしが参考書にしたのは『ガラスの仮面』でした。なにしろ女子高校生の生態って、想定外だらけ。自分の価値観にない、驚くべきことに出くわすたびに「おそろしい子!」って、月影先生の境地になったものです(詳しくは名作少女漫画『ガラスの仮面』をご参照くださいませ)。
1年間、わたしの授業になると、顔をずっと下に向けていた生徒がいました。よほど嫌われてるんだろうけど、その態度はあんまりじゃないって、プンプンしてたわけです。それがクラス替えのときに、その生徒からもらったお手紙には「先生のことが好きでした」って。ん? ん? なになに~っ! じつは、ただの恥ずかしがり屋さんで、わたしのまったくの思い違いだったのです。
態度だけで、「こういう子」って決めつけて見ていたのは、わたし……。決めつけは、「気を縛る」こと。自由な見方ができなくなるんですね。
人との縁を紡いでいくことが、この世に生まれた醍醐味。それまでとは違う人とのおつきあいが生まれると、また違う世界が見えてきて、人生ますますおもしろくなってきます。
先入観という色眼鏡をはずして、人づきあいを楽しみましょうよ、マジで。
◆キーワード
・若い世代とつきあう
・先入観をはずす
2018.09.01(土)
文=松尾法道
写真=文藝春秋