九州・長崎にある興福寺の住職・松尾法道さん。「龍にまもられてきた」というご住職のオーラに、通称「赤寺」と呼ばれる不思議な寺のパワーも相まって、ご住職のもとにはいろいろな悩みを抱えた方がやってきます。数多くの人生相談を受けるうちに見えてきたのは、<運気に恵まれている人は、日常生活を浄めて生きている>ということ。
つまり、ツイている人になるには、心の基礎代謝をぐっと底上げするべしっ、てわけです。そんな運気の代謝をあげて、ムリなく幸福を引き寄せる人生上昇術をまとめた著書『「運気の代謝」があがる! 日常作法のコツ』より、人間関係をスムーズにする作法を教えてもらいます。
「親しき仲ほど、感謝をことばにして」
「親しき仲にも礼儀あり」は、「親しき仲だからこそ礼儀あり」ですよと、あらためてお伝えします。
高校のとき、わたしがアメリカ留学中にお世話になったホストファミリーでは、食事をつくってくれたママへの感謝を、家族は毎日かならず口にしていました。息子たちもご主人も「なんて、おいしそう!」「サンキュー、ママ!」と、スマイルを添えて。ママは、いつでもゆったり微笑んでいる印象でした。
人って感謝されると、余裕ができるんです。「ありがとう」に比例して、「もっと、してあげたい」が自然とわいてきて、まわりも自分も幸福度がどんどんアップします。
日本では、主婦が子どものためご主人のために、ごはんをつくるのはあたり前といった社会の空気感が未だに健在。お母さんたちは働きづめで、「自分ばっかり」「してあげてるのに」とネガティブなほうに気持ちが傾くと、家庭内の空気も悪くなるでしょう? そんな古い価値観を手放すと決めただけで、うんとラクになりますよ。
家族だけでなく仕事仲間でも。ありがたいことのはずなのに、当然のように思ってふるまっていたことがあったら、どんどん「感謝」をあらわしましょう。良いチームには、互いへのエールが欠かせません。みんなのうるおいのある一日のために。
◆キーワード
・身近な人へ感謝
・人づきあい
2018.08.30(木)
文=松尾法道
写真=文藝春秋