あの、まぼろしのケーキの秘密はメレンゲにあった!

 まぼろしのロールケーキ「フロール」でおなじみの洋菓子作家・津田陽子さんが、『津田陽子のお菓子教室ライブ だから、おいしい!』を上梓しました。「こうしたら、ぐっとおいしいお菓子になる」と発見するとすぐにみんなに教えたくなるといいます。今回はCREA読者のためにあの“幸せな味”の正体=メレンゲの秘密を特別大公開!

ガトーショコラのメレンゲ

しばらく置くと離水してくるのがメレンゲヨウコI。段取りを確認して、すぐ使えるよう直前に泡立てるようにする

 メレンゲヨウコIはフランスで習ったフレンチメレンゲの変形です。軽やかに泡立てた卵白に、数回に分けて砂糖を加えてつやのあるメレンゲを作ります。卵白と砂糖の割合は2:1。まず、卵白をほぐして泡立てはじめます。1回目に砂糖を入れるタイミングは、ボウルの壁面に泡がくっついてすぐには滑り落ちてこないぐらいになった時。砂糖を入れて隅々までよく溶かしてから泡立てます。残りの砂糖を2~3回に分けて加え、ふんわりしたメレンゲにします。長時間持つ性質のものではないので、使う直前に泡立てます。

 このメレンゲはガトーショコラに使います。まず、チョコレート(+バター・卵黄・グラニュー糖)にメレンゲを一部入れ、次に粉、最後に残りのメレンゲを加える。この手法はもともとフランスにはありませんでした。でも、チョコレートも粉も重い。せっかくチョコレートにメレンゲを加えて軽やかにしても、続いて粉を入れて終わっていては、メレンゲの意味がない。今では最後にメレンゲを入れる作り方が主流になっています。

 ガトーショコラに不可欠なこのメレンゲは、チョコレート・バター・卵黄という油脂が多く含まれた材料たちがつながるのを助け、軽い食感に仕上げてくれます。陰で支えてくれる、お母さんのような役目を果たしているわけです。

メレンゲヨウコIを使って、軽い食感に仕上がったガトーショコラ

他のタイプのメレンゲの秘密も大公開

フロールのメレンゲの秘密
とろ~りと潤いがキープされたメレンゲヨウコIIを使って

 

キャトルカールのメレンゲの秘密
ホイッパーを立てても落ちないぐらいの粘りと力があるメレンゲヨウコIIIを使って

 

津田陽子のお菓子教室ライブ だから、おいしい!
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【掲載レシピ】
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りんごのフロール・オレンジのケイク・栗のタルト・キャトルカール・矢羽根のフロール・杏のケイク・洋梨のタルト・ガトーショコラ・フルーツケイク・カラメル作り

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津田陽子 Yoko Tsuda
洋菓子作家。1987年、渡仏。ル・コルドン・ブルー、エコール・ルノートル等でお菓子作りを学ぶ。まぼろしのロールケーキ「フロール」の予約を受け付けていたころ、その電話がなかなかつながらないほどの人気だった。京都の「ミディ・アプレミディ」と東京の「サンキャトルヴァン」でお菓子教室を主宰津田陽子著 価格¥1680(文藝春秋)

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2012.05.11(金)
text:Yoko Tsuda
photographs:Tamon Matsuzono

CREA 2012年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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