メキシコ料理といえばタコスを思い浮かべる人が多いかもしれない。そのタコス、もしかして皮がパリパリ? 具はちょっぴりスパイシーなひき肉と、刻んだトマトに細切りレタス? それはメキシコ料理のタコスではなく、アメリカ南部のテクス・メクス(TEX-MEX)料理。メキシコ料理のタコスの皮は柔らかく、具材もソースも食べ方も、もっと自由だ。
# タコス
メキシコ料理のタコスの皮は、トウモロコシで作った生地を焼いたもので、トルティーヤと呼ばれる。
トルティーヤに具材を挟んで食べるのがタコスだ。ほかには揚げたトルティーヤに野菜や肉をのせてオープンサンドのようにして食べたり、トルティーヤをサルサと煮てエンチラーダスにしたりと、トルティーヤはさまざまな料理に姿を変える。
また、メキシコのトウモロコシは、黄色っぽいもののほかに赤や黒に近いものなどさまざま。トルティーヤの色はトウモロコシによるので、個性のあるトルティーヤに出合えることもある。
メキシコにおいてタコスは軽食のジャンルの料理で、街のレストランや屋台で気軽に食べるもの。具材には肉が多く、好みのサルサやライムを搾って自分流に味付け。海辺の街に行くならぜひシーフードタコスをオーダーしよう。
メキシコは日本の約5倍の国土をもち、オルメカやマヤ、アステカといった古代文明が栄えた国。紀元前7000年ころからトウモロコシ、チレ(トウガラシ)、インゲン豆、アボカドなどが採取されており、いまスーパーフードと言われて注目を浴びているチアもメキシコが原産だ。
その後16世紀のスペインによる征服の歴史の中で、牛や豚、ニンニクやオリーブなどのヨーロッパの食材がもちこまれ、長い年月をかけてメキシコ独特の食文化を紡いできた。
2010年には、ユネスコの食の無形文化遺産に登録されている。
そこで今回は、海辺のリゾート・ロスカボスとメキシコ・シティで出合ったメキシコ料理をダイジェストで紹介しよう。
2018.07.09(月)
文・撮影=請川典子