あのレジェンド編集者に憧れて……
実は、ウィークエンドというアーティストが人気を得ていることを知った時点で、山本コータローとウィークエンドから山本コウタローが脱退したのかと早合点したのだが、そうではなかった。当たり前だ。平成も終わらんとしている今、何を言っているのか。
NEWSというジャニーズのグループの名を聞けば「ヒューイ・ルイスは脱退したのか」とひねくれたことを言い、ザ・キラーズなるアメリカ出身バンドの名を聞けば「ピンキーこと今陽子は参加していないのか」と混ぜっ返す。
40代半ばを超えてなお嬉々としてそんな振舞いばかりを繰り返しているわけだが、いつまでもこういうこと言って面白がってる場合ではないのかもしれない。何でも「TV Bros.」は隔週刊から月刊に変わるというし。時代の変化をひしひしと感じるが、でもやるんだよ!
そして、ウィークエンドといえば、ジャン・リュック・ゴダールである。彼が1967年に発表した映画『ウイークエンド』(細かいことだが、この『ウイークエンド』の表記は、ザ・ウィークエンドや山本コウタローとウィークエンドと違ってイの字が大きい)の終盤におけるヒロインの変貌はあまりに衝撃的だ。
まあ、ネタバレになるから詳しくは言わないが、ミレーユ・ダルクよろしく、自らの血を顔にペイントするメイク、というのは革新的かもしれない。おすすめはしないが。
この『ウイークエンド』が好きだったことから、「ウイークエンド・スーパー」という名の成人向け雑誌を創刊した伝説的編集者が末井昭氏である。ずばり「ウイークエンド」なる誌名にならなかったのは、すでに同名の商標が登録されていたかららしい。
末井氏といえば、白夜書房において「写真時代」「パチンコ必勝ガイド」など、時代を画す雑誌を世に送り出してきたカリスマ編集者である。
その自伝的エッセイ『素敵なダイナマイトスキャンダル』文庫版の表紙では化粧して女装しているし、確かこの格好で「パチンコ必勝ガイド」のテレビCMに出演していた記憶もあるので、メイクにも一家言あるだろう(とだいぶ適当なことを言ってみる)。
まったくもって末井氏の偉業には及びもつかないが、俺もまあ一応編集長の肩書を拝命している立場なので、いささかなりとも「ウイークエンド・スーパー編集長」の座に近づこうと、策を弄してみる。
ふと、オオゼキなりいなげやなりで週末に働けば「ウイークエンド・スーパー編集長」と呼ばれる資格は有しうるんじゃないかと思い立ち、自宅近くのスーパーでアルバイトとして勤務し始めたのだが、その初日に偶然、上役に当たる弊社某役員がよりによって自分のレジに並んでいたのは驚いた。
どうにもこうにも気まずくなり、2日目にはスーパーに辞表を出した。職場のみなさんには迷惑をかけたと心から反省している。副業はダメ。ゼッタイ。なお、私が接客した某役員は、エリンギとシーチキン2缶とシャウエッセンとふろ水ワンダーを購入していました。
2018.04.02(月)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋