◆新広東菜 嘉禅 (銀座)
あのシェフにまさかの再会!
6月のある日、「ケイコさん、銀座にできた中華の新店にご一緒しませんか?」との誘いが。中華の名店「龍圓」の栖原さん推薦というではないか。それは断るわけにはいかない。しかし、店の名は「新広東菜 嘉禅」。
うーん、「新広東菜」という店名が少々ひっかかる……。ヌーベルシノワを謳った店には、何度か痛い目に遭わされているのだ。
そんな気持ちを抱えつつ、飲茶ランチを予約してくれた彼女とともに銀座6丁目の店へと向かう。外堀通り沿いのビルの2階。メインダイニングは、30席ほどあるだろうか。業界歴の長そうなマネジャーがお出迎え。少しほっとする。そして、シェフが登場。……あっ!
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お互いに顔を見合わす。なんと、現れたのは簗田圭シェフ!
2017年6月から、ここでオーナーシェフとしてやっているのだという。まだ弱冠40歳だが、20歳から中国・北京に渡り、中国料理の修業をスタート。さらにマンダリンオリエンタルホテルなど香港やシンガポールの有名店で約20年間腕を磨いてきた辣腕だ。
これでいっきに不安はぬぐわれた。出てきた点心はもちろん、〆の坦々麺まですべてがいい。さらに、サービスで出してくれたXO醤のすばらしいこと!
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数週間後、4人でランチにうかがった。広東料理の神髄である焼きものを確認するための再訪だ。するとメインダイニングではなく、奥へとご案内。そこはカウンターのみの4席で、目の前は厨房。シェフと会話を交わしながら食事が楽しめるシェフズテーブルとなっている。
蜜汁叉焼や、皮つき豚のカリカリ焼きなどの盛り合わせから、ランチ一番人気というふかひれ土鍋ごはんまでいただく。もちろん満足。しかしまだ彼の実力を見ていない気がして……。
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「次は、夜に来ます。ふかひれマシマシで、ひとり15,000円くらいのコースを組んでくれますか?」と予約を確定。
そして9月。おいしいものに目がない8人が集まった。さあ、簗田劇場のはじまりだ!
アミューズはイカスミを使った黒い小籠包。サマートリュフが添えられた、「一口幸福」。
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続いて、焼きもの前菜盛り合わせ。次の写真の右から、皮つき豚のロースト、クラゲ、焼鴨、フォアグラ&焼きマンゴー。新広東のエッセンスを絶妙にプラス。
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鳩のグリルが登場。
広東鳩を使い、オリエンタルスパイスをまとわせ香ばしく焼き上げている。ひとり半羽が提供された。
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リクエストしたものが来たー! 気仙沼産のふかひれ。乾物から5日間かけて戻したものを、まずはお披露目。最高級の青サメを500グラムだという。たしかに「ふかひれマシマシで」とお願いしたが、これは少々やりすぎでは!? シェフの男気をひしひしと感じる。
「それでは、仕上げてまいります」といったん引き揚げられたふかひれは……。
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2017.12.04(月)
文・撮影=Keiko Spice