高級素材を惜しげもなく
使った魅惑の品々

 こんなすばらしい状態で戻って来た。品書きには“上海風濃厚煮込み”と記されている。上湯ではなく、合鴨の白湯にニンジンのピューレを溶かし込んだもので、実に滋味深い。もやしと金華ハムがアクセント。

後半は少し酢を入れて食べてもいい。皿をなめるようにして完“飲”。

 さらに「はい、焼き上がりました~」の声とともに出てきたのは、北京ダック。

パンパンでツヤツヤ。まずは記念写真タイム。

 お披露目のあと、野菜と一緒に包んだものが提供された。ソースが少しピリ辛なのが好感。

皮のテクスチャーも軽く、あと2本はいただけそうだった。

 大きな紅ハタを、広東料理では定番の姿蒸しで。

 神経締めした紅ハタを使っているうえ、客の来る時間を逆算して蒸し時間を計算し調理したのだという。

こちらもお披露目後、すぐに8皿にわけて提供される。

 なんとも火の通り具合が絶妙。白身がねっとりと口の中ではじける。ネギ生姜とフィッシュソースがいい仕事をしている。ああ、白飯がほしい!

金魚形の点心とともに盛りつけたにくい演出。中国では金運の象徴といわれる金魚。気分が上がる。

 〆は、黒鮑のリゾットチャーハン。まさか鮑まで出していただけるとは思っていなかった。ほんのり甘く、乾物の持ち味を引き出した奥深い味。広東料理のいいところを全部見せてもらった。

さっき白飯を我慢してよかった。

 マンゴープリン、杏仁豆腐。林檎の香りがする烏龍茶とともにいただいてフィニッシュ。

毎回感じていたが、デザートがこれまたすばらしい。これだけお土産に買いたいぐらい。

 メニューにないのが惜しいくらいの完璧なコース。しかもここは銀座。あれだけの高級食材を使って15,000円はありえない。実際「これと同じもので、もう一度食べてみたい」というメンバーもいる。

 そこで、「よかったら、“CREA WEBコース”という名前でやってもらえませんか?」と聞いてみる。すると、すぐに「いいですね!」と快諾! 決断力も男前である。

 ただし、予約は1週間前までに。ふかひれや鮑など、乾物は戻すのに時間がかかるからだ。私の食の師匠も言っていた、「おいしいものは1日にしてならず」と。

そんな男気あふれる簗田シェフ。はにかんだ笑顔がキュート。

 帰り際、こんな提案もしてくれた。

「今度は、広東の家庭料理なんていかがですか?」。

 なんと魅力的な誘い。そうか、今日体験したものはすべてではない。まだまだ彼の引き出しはたっぷりあるのだ。

 さあ、次はいつ家常菜で卓を囲んでみようか。

新広東菜 嘉禅
(シンカントンサイ カゼン)

所在地 東京都中央区銀座6-5-13-2F
電話番号 03-6264-5851
営業時間 11:30~14:30(L.O.)/17:30~22:00(L.O.)、土・日・祝 11:30~15:30(L.O.)/17:30~21:30(L.O.)
定休日 無休
予算 昼1,500円~、夜8,000円~
https://ginza-kazen.therestaurant.jp/
※上記コースを希望する場合は「CREA WEBコース」とご指定下さい。1週間前までに要予約。 [2017年9月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2017.12.04(月)
文・撮影=Keiko Spice