テレビドラマやVR作品まで上映
なお映画祭側は、来年以降はコンペ作品にはフランスでの劇場公開を義務づけるということにした。これはフランスでは劇場公開作品の場合、映画館保護のための一種の税金を払う必要があったり、配信は公開から3年後、という独自のルールがあることも関係している。
さらに、70周年記念の特別上映だったものの、25年ぶりに復活したデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス The Return』の第1・2話や、ニコール・キッドマン主演、ジェーン・カンピオン監督のテレビシリーズ『トップ・オブ・ザ・レイク:China Girl』の第1話も、カンヌで一番大きい会場ルミエール・シアターで上映されたし、アレハンドロ・G・イニャリトゥの体験型VR短編『Carne y Arena』も、近くの空港の格納庫を使って上映された。
映画というメディアの多様性を問うと共に、映画は他の映像作品と何が違うのか=映画とは何か、という壮大な問題を突きつけた形になった今年のカンヌだったのだ。
ポン・ジュノもノア・バームバックもインタビューをした際、「映画館の大画面で観てほしいのはやまやまだが、映画作りに資金は必要だし、Netflixのようにうるさいことを言わずにお金を出してくれるところは少ない」という趣旨のことを言っていた。
ちなみにカンヌ映画祭は、英語ではCannes Film Festival(正確にはカンヌ国際映画祭=Cannes International Film Festival)だが、フランス語ではFestival de Cannesと表記するのが通常で、これだと、“カンヌのお祭り”という意味しかない。
Film(映画)とも、Cinema(映画館)とも入っていないんだから、配信でも、劇場公開作でも、どっちでも出来が良ければ構わないのではないか、という気もしたし、映画監督が「これは映画なんです」と言えば映画でいいのではないかと思う。個人的には、ね。
石津文子のカンヌ追っかけ日記2017
2017.09.25(月)
文・撮影=石津文子
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