極寒仕様の装備に身を包む
いざ北極海クルーズへ!
アークレイリから車で1時間少々。車窓から見えるのは、荘厳な氷山や湖のように穏やかなフィヨルド、そして4月後半だというのに凍てついた小さな湖……。
雪から顔を出した茶色の土と、長い月日を経た溶岩の平原や氷河が削った岩壁のグレイ、残雪の白。渋い色合いの光景が広がっています。雲の流れが速く、力強い光の筋が差し込んだり、太陽が雲間に隠れて薄暗くなったりと、風景の表情がくるくると変わります。
フーサヴィークに到着し、いざ、ホエールウォッチングへ! 今回のお目当ては世界最大の動物、シロナガスクジラです! ザトウクジラならハワイや沖縄でも会えますが、孤高のシロナガスクジラが高確率で見られるなんて、まるで夢のよう!
スキャゥルヴァンディ湾から極寒の北極海へ向かってクルーズするのですから、装備はがっちり。ウォータープルーフの厚手のつなぎに、底の分厚い長靴、温めておいた手袋にゴーグルにキャップ。
乗り込んだゴムボートはゾディアックのような機動力のあるタイプで、シートはまたがるような形になっています。
出船後、湾内は穏やかだったのですが、外洋に出た途端に海はいきなり牙を剥いてきました。北極海の冷たい波しぶきがじゃぶじゃぶと打ち付け、ボートは揺れに揺れて、そのたびに首はがくんがくん。まるで洋上の過酷なロデオゲームで、シートの形にしごく納得した次第です。
2017.05.20(土)
文・撮影=古関千恵子