未知なる食材の宝庫
●「LOMO SALTADO ÁMAZ」
日系人による日本料理の影響を受けたという郷土料理で、牛肉とフライドポテトの甘醤油炒め料理「ロモサルタード」のアマゾン版である。
牛肉の代わりにセシーナ(アマゾンベーコン)と野菜炒めで、甘辛い味を一口食べた途端に、「大至急御飯!」と叫ばせる。
●「SACHA CHAUFA」
こちらは中国移民の影響を受けたとされるセシーナ入り醤油味炒飯。豚脂と味付けの甘みが滲むセシーナが、香港の香腸入り炒飯を思い浮かばせる。塩味も適妙である。
●「KEKE DE YUCA」
キャッサバケーキ。ロールケーキ状だが小麦のしっとりとは違い、モチッとした食感が魅力的である。
●「TORTA DE CHOCOLATE SANTHOME」
ピスコ風味のチョコレートケーキとトンカ豆のアイス。
●「SORBETES Y HELADOS(ソルベ盛り合わせ)」
ピンクはカムカム(南米アマゾン河に育つ果物で、天然ビタミンCはレモンの60倍、アセロラの約2倍、ビタミンCの含有量では世界一。さらにポリフェノールもたっぷり含まれているスーパーフルーツ)甘酸っぱく収斂性を感じる。白はコッパス(カカオのような形でたわしに似た果物)で、マンゴーとココナッツの香りが共存する。オレンジは、ニカンボと呼ばれる果物で、マンゴー的な味わい。
●「ARROZ CON MANGO」
ココナッツミルクで煮た米のデザート。くどくなく、インドのライスプディング「キール」に似ているが、そこまでは甘くない。
今回のペルー、リマ美食案内はどうでしたか。我々にとっては未知なる食材の宝庫であり、料理も多彩。かつて欧米人が日本食や日本の食材の神秘に驚き、魅了されたように、今欧米人の食通やフーディーは、南米、特にペルーに注目している理由が、少しわかっていただけでしょうか。
次回はまた数カ月後、世界のベスト50の3位に輝く「セントラル」や日系人が営むこれまた世界のベスト50の上位ランクインの「maido」、北ペルー料理の名店「ピカンテリア」、世界一の朝食や市場の食堂、クスコのお奨めレストランなどをご紹介します。
マッキー牧元(まっきー・まきもと)
1955年東京出身。立教大学卒。(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く。「味の手帖」 「銀座百点」「料理王国」「東京カレンダー」「食楽」他で連載のほか、料理開発なども行う。著書に『東京 食のお作法』(文藝春秋)、『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)、『ポテサラ酒場』(監修/辰巳出版)ほか。
Column
マッキー牧元の「いい旅には必ずうまいものあり」
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く「タベアルキスト」のマッキー牧元さんが、旅の中で出会った美味をご紹介。ガイドブックには載っていない口コミ情報が満載です。
2017.05.04(木)
文・撮影=マッキー牧元