バリスタの
「職人」としての心意気に惚れる

 日本らしい丁寧なサービスとともに、一杯のコーヒーと真摯に向き合う、バリスタの「職人」としての心意気にも魅了される機会が多いという。

「最近では、コーヒーを淹れるためのレシピや手順を細かく決めているお店も多く、バリスタたちはスケールを使って豆や水の分量を確かめていたりもします。一方、羽當のバリスタたちは、長年の経験から培った手元の感覚だけで確実に美味しいコーヒーを作り続けているんです。これはまさに職人技! 最高にクールだと思います」

左:バリスタは自ら極めた方法で、最高の一杯を仕上げる。「コーヒーを知れば知るほどに、味わい深い存在だと感じます」と天野さん。
右:ふっくらと豆が膨らみ始めると、カウンターに芳醇な香りが立ちこめる。ポタポタと落ちる抽出音も含め、五感で楽しむコーヒー体験を。

 ベテランの技が生み出す、炭火焙煎のドリップコーヒーは、ヴォーンさんが「ビター&ディープ」と表現するように深い味わいが特徴。世界中のコーヒー通を魅了する、その美味しさの秘訣が気になるところ。

「実は、当店のコーヒー豆はとてもオーソドックスな味わいなんです。だからこそ、僕たちバリスタは、たっぷりと豆を使い、それを丹念にドリップし、美味しさのレベルを数段引き上げてから、お客様にご提供するよう努めています」(天野さん)

左:ヴォーンさんおすすめの「羽當オリジナルブレンド」(850円)。
右:1杯のコーヒーに使用する豆の分量は約30グラム。これは、ライトで酸味の強いサードウェーブ系コーヒーの約3倍!

 シンプルな素材に手間をかけ、美味しくなあれと思いを込めて。日本人ならではのもてなしの精神と、素材の本質と真摯に向きあう職人としてのこだわりが、羽當に息づくコーヒー時間を、より味わい深く香り立たせている。

「天野さんたちバリスタの手仕事は、ずっと見ていても飽きないんです。明日もまたお邪魔しますね!」(ヴォーンさん)

ヴォーンさん
大学時代に留学生としてオーストラリアから初来日。卒業後に母国へ戻るも、現地で出会った日本人の奥さんとの結婚を機に東京へ。モデル業の傍ら、趣味のカフェ巡りで深めたコーヒーの知識を活かして、コーヒーブロガー・ライターとしての活動をスタート。日本のコーヒーカルチャーを紹介するウェブメディア『GOOD COFFEE』の取材記事をはじめ、インスタグラムにも注目が集まる。
https://goodcoffee.me/
https://www.instagram.com/vja/

茶亭 羽當
所在地 東京都渋谷区渋谷1-15-19 二葉ビル2F
電話番号 03-3400-9088
営業時間 11:00~23:30(L.O. 23:00)

2017.04.19(水)
文=中山理佐
撮影=佐藤 亘